近藤麻理恵&スコット・ソネンシェイン「Joy at Work 片づけでときめく働き方を手に入れる」875冊目

3冊目は職場です。会社員の頃の私の机は常に散らかってました。「ぐちゃぐちゃ」ではなく、B4くらいの作業スペースの周囲を、重ねただけの書類の高い塔が取り囲んでいて、机の下は膝が入るスペースだけを空けた紙袋の海。少ない荷物、何もないデスクに憧れていたけど、私はさまざまな仕事をどれも楽しんでやっていて、必要な資料の置き場がもらえないから自分の場所に積むしかないと感じていました。(机の下のもらいもののクッションとかはさておき)

その頃は、「やりかけ」のものが多いことは周囲の同僚たちのためになっていると思ってたな。みんなが嫌がる仕事でも、私が楽しめるものがたくさんありました。私はだいたいどんな仕事でも好きなのです。だから私の場合、「ときめく仕事を選ぶ」より、「ときめく順に仕事を並べて、下位のものは引き受けなくて済むよう、もっと頭を使う」べきだったのかもしれません。

思い返してみると、小さい頃から家族が面倒くさがって後まわしにする仕事を私は楽しくやってたけど、感謝されずにどちらかというと愚痴の相手になることが多かった気がします。この年になってやっと、みんなの仕事はうまく分担して、達成感と自信も共有した方がよかったように思える・・・自己肯定感が低くて、自分が他の人より少しだけ大変なくらいのほうが安心できたけど、ずっとそれではダメだったな。

前は外資系IT企業でまさにソネンシェイン氏が説くような理想に向かって仕事をしたもんでした。今はもう、会議は月に数回で十分。職場=家にはいつも、気まぐれに甘えてくる可愛い猫がいて、彼女のペースで休憩に入る。幸せだなぁと感じる瞬間が一日に何回もあって、悩んでる友達のことが前よりは気遣えるようになってきた。

あんまり怠けてると(老化もあるけど)瞬発力がなくなるし、がんばろう(無理しよう)という気持ちにならなくなるけど、このくらいでちょうどいいのかな、と今は思います。

依然として家は散らかってるけど、考えながら1つ1つ仕分け・片づけをやることも楽しい。この幸せが続いて、さらにスッキリ片付いて、新しいキラキラした未来に出会えるといいな~。(なんだか楽天的な私)

 

近藤麻理恵「人生がときめく片づけの魔法2」874冊目

「1」を読んだとき、「100%同意するけど、洋服のたたみ方とか引き出しの整理のしかたとか、文字だけじゃわからないなぁ」と思ったら、その辺を図解した本がちゃんと続編として出てました。1を理解した人には、片付けコンサルタントか、いなければこの本が必要。

いろんなものが出しっぱなしの私の部屋・・・ダイニングテーブル兼ビジネスデスクの上には各種おたのしみグッズと業務用の参考書とおやつと文具で、お茶碗の置き場もありません。まずい・・・・・・

と書いてるそばから、頭の中は「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」とグルグル。実のところ、その忙しさを楽しんでる部分もあります。全ての締め切りを完了して、ぽこっとすき間ができたときに、妙なむなしさを覚えることだけが感情やモチベーションの上の問題なので、そういうときこそ片付けよう。

と決意だけして、100本以上あるボールペンをまだ捨てきれない今日の私でした。・・・どこかで日を決めてやらねば・・・。

 

シヴォーン・ダウド「ロンドン・アイの謎」873冊目

ロンドン・アイができたり、テムズ川岸が再開発されてオシャレな街になった後はほとんど見てない。「テート・モダン」しか知らない・・・。1992年にロンドンのアールズ・コート近くに滞在してたとき、あの駅のどっちを出れば展示場に出られるのか迷ったのを懐かしく思い出したりしました。

ダウドの作品を読んだことはなかったけど「怪物がささやく」という映画がすごく好きで、あんな感じの可哀想な子どもが出てくる切ない作品のつもりで読んでしまった。これはもっと楽しい、プチ・シャーロック・ホームズとでも呼びたくなるような、頭脳キレキレで対人関係が苦手な12歳の少年が謎を解く物語でした。

前述の先入観があったため、<すみません、ここからネタバレいきます>消えた少年の名前が「サリム」であることから、地元でのイジメや引っ越しで将来を悲観したイスラム系の少年が原理主義者たちの団体に加入するために身内をあざむいて逃亡する事件じゃないかと、すごく暗い想像をしながら読んでしまいました。なんて不幸な読者。。。

それにしても、この表紙の絵に見るロンドン・アイはずいぶん巨大な観覧車ですね。構造がユニークだし、1つの車に乗れる人数が21人なんて、ケーブルカーみたいじゃないですか。

折しも、1990年代のブリットポップドキュメンタリー映画LIVE FOREVER」を見たばかりで、なんだかロンドンが恋しくて仕方ありません。今年はムリでも、来年は行けるかな・・・・。

 

近藤麻理恵「人生がときめく片づけの魔法」872冊目

この本、昔読んだことがあるはずだけど、NHKの「SWITH INTERVIEW」にこんまりさんが出演してるのを見て、改めて読んでみようと思いました。私の部屋は、会社を辞めた3年ほど前に片付けたはずだけど、やはりモノがあふれていて、すっきり片付いた部分は食器棚くらい。彼女が小さい頃から徹底して片づけに関心を持ち、片付けに関するすべての本を国会図書館で読んだという話を聞いて、もう一度この人を信じてみよう!という気になってしまった。

とりあえず大きな袋1つ分、洋服をリサイクルに出してきたわ。次は、また溜まり始めた本を売ったり捨てたりしよう。教師の勉強をしたときに買った本物の教科書類はどうしようかな・・・学校に勤めることはなさそうだけど、ボランティアでは教えてるから、かさばるけどこれは現役だから残しておくか。膨大な量の旅行ガイドが最近幅を取ってるけど、これこそ私の思い出だし・・・ああ、今日も片付かない・・・!

とりあえず続編を調達して読んでみよう。

井上拓「SNS別 最新 著作権入門 「これって違法!?」の心配が消える ITリテラシーを高める基礎知識」871冊目

SNS上のコンテンツ著作権について書いた本は、見つけたら片っ端から読んでます。図書館で借りられるものは借り、良さそうだと思ったものは読み終える前に買う。そうやってこの本も、借りた当日に購入しました。

これってどうなんだろう?と疑問に思いながら不安なまま使っているようなコンテンツを片っ端から取り上げてあって、かつ、すごく端的でわかりやすいキーワードで判断基準を示してくれている。例えば、読んだ本を紹介する上で本の表紙の写真を載せる場合の扱い。感想(これが主の部分)を書いていて、それに付随する形で書影も載せる形で主従がはっきりしていればOK、など、難しい法律用語を使わずに「私でも判断できるわ」と感じられる表現で説明してあって、自分が理解するだけじゃなく、友達や家族にも同じ言葉で教えてあげたくなります。

ちなみにこのブログに貼ってある本や映画の写真は、アフィリエイトとしてAmazon楽天からリンクするために提供を受けているものです。ここを見て購入してくださる方は今のところほとんどいませんが、、、

この本も参考書として手元に置きつつ、良さげな本があったらどんどん買っていきたいと思います。

アニー・エルノー「嫉妬/事件」870冊目

「シンプルな情熱」に続いて、先日ノーベル文学賞を受賞したアニー・エルノーを読んでみます。手元にあるのは表題が「嫉妬」だけの2004年版だけど、「事件」も併録されているのでタイトルは後に出版された文庫版に合わせて「嫉妬/事件」とします。

ルノー女史っいぇ、ほんとに観察家で研究家なんだよな。自分の頭の中をこれほど客観視できる人って見たことない。私も好きな人の彼女に嫉妬して、相手を知りたいと思ったことが100年くらい前にはあった気がするけど、「そんな自分が嫌だ」という感情に圧倒されて、力いっぱいそこから逃げて忘れようとすることだけに注力したもんだ。彼女のように、その感情がある限り感じ続けようという「毒を食らわば皿まで」根性は到底私にはなかったな。多分みんなそうだろうけど。

「事件」の方はもっと緊張を要する。著者が20代の大学生の頃に経験した、当時違法だった堕胎について書かれたものだから。ここでも彼女の徹底した客観的な目に圧倒される。感情は感情として、やるべきことをやり遂げるという、なんだかサッチャー首相が行った改革について書かれた文章を読んでいるような気がする。当時の彼女が残したメモが「不幸に泣き叫ぶ女子学生」のような状態と対極に冷静で、それを読み直し書き直す今(執筆当時)の彼女は輪をかけて冷静。そのおかげで一部始終が今自分に起きていることみたいにわかる。記録文学って呼んでしまいたくなる。

この人が20年後にノーベル文学賞を取るというのは正しいことだと感じる。何か徹底して一貫した姿勢で、成熟した大人の視点を持って冷徹に書き続ける人しかノーベル文学賞は取れないと私は思ってる。どこかアール・ブリュットみたいな異形の世界を見せてくれる村上春樹は、それとは違う世界の偉人なのだ。

 

中野善壽「ぜんぶ、すてれば」869冊目

ずいぶん前に予約の列に入って、やっと手元に届いた。寺田倉庫がスゴイというのは聞いてたけど、カンブリア宮殿に出てたっけな、くらいで記憶が薄れかけてました。

最近は、上から目線で人生訓や長年の苦労を語る経営者が目立たなくなって、こんな風に「実際どんな感じで新規事業や改革をやってきたか」を同僚みたいにフラットに語ってくれる人が増えてきたと感じてる。私から見ても面白い人たち。

私自身は、自分の感覚を信じていくつかまあまあいい仕事もやってきたと思ってるけど、中野さんのように周囲の人に愛されることができずにいつも失脚してきたので、読んでていじけたくなる場面もありました。が、すがすがしさの方が強いし、こんな経営者、ビジネスマンでいられたらなぁ、とまぶしく見上げて憧れる。

何度も転職したし、社内でも異動が多かったけど、自分自身をしっかり振返れたのはフルタイムの仕事を辞めた3年ほど前からだ、と感じてます。「すき間」を保ったまま新卒から今までやってこられた中野さんの芯の強さに改めて驚きます。かなり年取ってしまったけど、私もこれからも自分のやりたいことをやろう。その精度を上げるために自分といつも向き合おう。と思いました。

中野さんの作った空気を味わって何か感じられるかどうか、明日にでも天王洲に出かけてみようかな・・・。