トマス・J・スタンリー&サラ・スタンリー・ファラー「その後のとなりの億万長者」893冊目

先日読んだ「となりの億万長者」の続編。これも、質実剛健な生活によってお金の心配のない人生をつかみ取った人たちについて調査研究した良書です。

個人的には、前著とこっちのどちらかを読めばいいような気がするけど・・・。

お金をたくさん持って贅沢な生活をしたい人と、お金に振り回されず普通に暮らしたい人がいるんですよね。私は、贅沢は一生のうちで1日くらいはしてみたいけど、あとは納豆ご飯のほうがほっとするので、後者を目指して今後も精進します。

 

「地球の歩き方BOOKS・世界のすごい城と宮殿333」892冊目

地球の歩き方の本を”読んで、感想を書く”のも変な感じだけど、とても楽しいです。コロナ禍で海外が遠くなったけど、(いや、会社を辞めて収入が変わったことも大きいな)こうやって見てるのは楽しい。

 

聞いたことのある名前も多いなと思ったら、水曜日のカンパネラの「バッキンガム」という曲に出てくる宮殿は多分全部載ってる(笑)

いくつか行ったこともあった。ルーヴル美術館。ブレナム宮殿。エジンバラ城。ノイシュバンシュタイン城バチカン宮殿。ドゥカーレ宮殿。インドのアグラ城、タージ・マハル、アンベール城、レッド・フォート、シティパレス。タイの王宮。ウズベキスタンのヒヴァ、フィリピンのサンチャゴ要塞。キューバハバナ要塞。韓国の景福宮、昌徳宮、水原華城。国内では姫路城、二条城、熊本城、首里城、皇居、高知城五稜郭

バチカンはあるのにサグラダファミリアはないんだ。。。その理由は、バチカンは宗教施設だと思ってるけど宮殿だから。サグラダファミリアは純粋な宗教施設ですもんね。これと別に「世界の美しい宗教施設」という本が出たらまた読みたいけど、予定あるのかな・・・。

最近すっかり、旅番組を見たり、本を眺めたりすることで満足してるなぁ。今の私はそれでいい気がするけど、いつかまた外に飛び出す日がくるのかな。

 

バートン・マルキール「ウォール街のランダム・ウォーカー」891冊目

この本、2015年に書かれてからずっと、版を重ねながらどんどん更新されてるんだ。著者の努力が感じられます。お金の運用に関する本ってゴマンとあって私も何冊か読んだけど、これは特に真剣に調査研究した結果を冷静に分析した本だなと感じました。

何を調査研究したか?それは、過去の歴史に残る数々の”バブル”や”投資手法”の検証です。「xxx投資法」って常に新しいものが現れては消えていくけど、要は世の中の動きをしっかり予測できる人は、未来を予言できる人と同様、ほぼ存在しません。それに、株の売買やバブルって人間の欲や希望を投影するだけで、価格や相場をいくらグラフにしても、それは人間の欲望の度合いグラフでしかなく、どこに人が群がるか?を探し当てていち早く儲けることを目指す「投資法」もあてにはならないし、あまりあてにすべきではない、と理解しました。

株や債券の賢い買い方を調べ始めるとやがて「インデックス投資が結局一番だ」という話に出会います。一攫千金を目指す”投機”でなく、資産を大事に守りながら、将来の物価上昇に合わせて損をしないように増やすと考えると、本当にそうだなと思いました。ただし、①健全に物価が毎年少しずつ上昇している国の、②指標となる株を毎年分析して取捨選択している株式市場の上場株、でしか実現できないことなので、この本に書かれたことがそのまま日本の株でも実現できると思わないほうがいいわけです。

お金はほんと、できるだけ稼いで、なるべく質素な暮らしを保ち、堅実に守って増やすことで、お金の心配のない生活に近づいていけるんですね。高校生にお金の授業をするなら、まさにこういうことから教えてあげてほしいなと思います。良書でした。

 

イアン・スティーヴンソン「前世を記憶する子どもたち」890冊目

長年愛読している佐藤正午が、生まれ変わりが話の軸になっている「月の満ち欠け」という小説を書き、それで直木賞を受賞し、それが映画化されたのを先日見てきたところ。その中で、前世を記憶していると思われる子どもを持った親たちが参考書として手にするのがこの本。私は佐藤正午がこのテーマを取り上げることがとても意外だったので、この本も読んでみたいなと思って手に取ってみた次第です。

548ページもある本で(うち150ページが原注と参考文献)、内容は著者が長年の研究の末、前世記憶はインチキじゃないけど絶対にあるというものでもない、とにかく興味深いから見てみて、という感じの本です。めちゃくちゃ前世に興味があるわけではないので、斜め読みしかしてませんが、感触としては「UFOはあるのか」「宇宙人はいるのか」といったテーマを極力まじめに研究したものと似ています。こういうものほとんど、「ないという結論が出ていないからには、あるかもしれない」と思うのですが、今の科学力で解明できると思えないので、あまり深堀りすることに興味が持てない。

だから斜め読みしたあとも、「月の満ち欠け」に関してはどうも半信半疑の気持ちは変わらなかった、というのが正直なところ。

あの小説によって佐藤正午(小説の書き方ではなくコンテンツの方向性だけ)が不可逆的に変わってしまったのか、それとも従来通りの部分がまだ大きいのか、あるいはもっと違う方向へどんどん進んでいくのかに興味が尽きません。現在執筆中の新作が年明けからウェブ連載されるそうなので、心待ちにしています。

 

小松みゆき他「動きだした時計 ‐ベトナム残留日本兵とその家族」889冊目

年老いたお母さまを自分が住むベトナムに連れて行って暮らすことを中心に書いた「ベトナムの風に吹かれて」を前に読んで、すごいチャレンジだと思った。私が大げさに考えすぎてただけかな?それより、前は見逃してたのかもしれないけど、この本を読んで、小松さんご自身がこれほど仕事をしながら苦学して、すでに様々な仕事を経て日本語教師の資格を取り、ベトナムに渡ったという経緯に驚いた。私自身、違う分野への転職を何度もしているのに、年を取ってからの方向転換は大変だという頭があるからだ。日本語教師の資格ができたのは私がちょうど大学新卒の頃なので、今はベテランになった私と同年代の日本語教師はたくさんいるし、それより前から経験を積んできた人も多い。でもそのタイミングで転換した人の話は多分他に知らない。新卒で海外に渡った人とは全然違う、豊かな授業が最初からできたんだろうな、などと想像する。

この本は最初、「~風に吹かれて」の続編のような軽い気持ちで手に取ってみたけど、冒頭からその重さに緊張した。ベトナムに残された家族の、日本の父に対する思い。この本では、突然の帰国を余儀なくされた日本人父たちの事情を、一部の当事者の手紙から、軍事目的の機密工作行為とも読み取れる部分があるけど、もしかしたらそれが彼らに対する方便で、本当は他の国からの圧力だったのかもしれない。さまざまな、得体のしれない圧力のなかで、思い合うことを最後まで忘れなかった方々の「生き様」に胸がいっぱいになります。

人間ってすごいな。きっとみんな自分の中にすごく強くて美しいものを本当は持ってるんだろうな。外のものごとだけじゃなくて、そういう大切なものに意識を持っていたいなと思ったのでした。

 

藤井孝一「超・個人事業主 なぜあの人は会社を辞めても食べていけるのか」888冊目

数年前から青色申告を行い、3年前に会社を辞めて自営業一本になった私としては、気になるタイトルです。ぱっと見、外国の本の翻訳みたいに見える表紙のデザインは、たぶん戦略なんだろうな。

なぜ私が会社を辞めても食べていけてるのか?と思ってる知り合いもいるだろうなぁ。それは収入に見合った支出に抑えるように努力しているから。コーヒー豆も安い生豆を仕入れて自分で焙煎してたし、洋服は無印とユニクロを通り越して、しまむらとワークマンにも行った。私の場合は一人暮らしで節約が趣味みたいなものなので、あまり苦労しなくても少し稼げればまあまあ幸せに暮らせるほうです。でもこの本はそっちじゃなくて、例えば家族がいて学校や生活に今までと同じ額の支出が必要な人が、生活を変えずに収入を確保する秘訣について書いています。

会社を辞めてから、新聞広告の仕事に応募したり、人から聞いた会社でパートしたりもしました。今はそれと別の仕事を受託してる。そろそろ、新しい仕事を覚えるのが少しおっくうになってきたけど、まだ好奇心はある。仕事そのものに夢中になれて、仕事の質を高めることが生きがいにできれば。今後の問題は体力だ。いくつまで働けるのかな、働ける体力をなるべくつけて温存するの、けっこう大事ですよ。と若いころの自分に言ってやりたい・・・。

 

ひろゆき「誰も教えてくれない日本の不都合な現実」887冊目

Twitterでしばらくフォローしていたら、彼のフォロワーの反応が激しくて興味深かった。与党批判をしているときは、諸手を挙げて大絶賛してた人たちが、沖縄のデモのやり方を皮肉ったあとすごい勢いで攻撃したり。たぶん私のTwitter世界がかなり左寄りだという状況の原因の一つだと思うけど、そんなに一人の人の言うことに一喜一憂しない方がいいんじゃないかと思う。だって、生まれも育ちも遺伝子もまったく違うのに、自分とすべての面で同一の価値観の人なんているわけない。

Twitterっていう世界はダイバーシティを保つのがとても難しい。自分が好きで選んだもので埋め尽くされるので。最近は友人との相互フォローを一切やめて、完全に独立したアカウントを作って映画と読書のブログの投稿と、ニュースや興味のある人のフォローだけしかしてない。友達とはビールを飲んだり旅行には行きたいけど、「xxをフォローしてるなんて信じられない」とかは言われたくない。逆にいうと、私が誰をフォローしてもそれほど気にしないで仲良くしてくれる友達って少ないのかな。

とにかく、この人の発言はなんとなくいちいち冷笑っぽいのが嫌な人は嫌だろうけど、なかなか人が気づかない視点や、思ってても言わないことを言ってくれるのがときどき痛快なので、これからもぼちぼちフォローすると思います。