2014-01-01から1年間の記事一覧
安定の読み応え。といっても、最初のほうは若干いつもの幻想的な空気を感じず、彼女の書くエッセイのような印象が少しありました。後半「夕暮れの菜の花の真ん中」、「山の人生」、「楽園」の3編は、まさに村田喜代子節、デビュー作をも思わせるスリリング…
あの兼高かおる!1ドル360円の時代に、今は亡きパンナム提供の「世界の旅」で地球をくまなく歩き回った、旅行番組のゴッドマザー!ご存命だっただけでも嬉しいのに、こんなに元気に今も活躍されているとは。 彼女の「行った国リスト」や「旅行鞄の中身」を…
最近旅行ばっかりしている私が、とうとう「世界一周」に挑戦してみようかと思っていたところ、ちょうど近くの書店の店頭にこんな本があったので買ってみました。How-to本でもないし、旅行記としても中途半端ではあるのですが、そういうことではなくて、この…
もはや、自分がビジネススクールに通ってたことなど忘れそうになっていて、こういう本のタイトルを見ると、なにか遠いもののように思える… でもいい本でした。こういうタイトルがアピールする人もしない人も、なんらかの組織に属していれば遭遇する、普遍的…
1Q84を読み返して、それからこの本を読んで、やっとすこし村上春樹っていう人のイメージを持てるようになった気がします。どういうイメージかというと、「セカオワ」の深瀬くん(と、カオリちゃんがその妻)。というと極端だけど、ひどく繊細で才能豊かな男…
日本語版は2年前に読んだ。これは、去年NYに旅行したときにChip Kiddの装丁(ペーパーバックでも素敵)につられて買った英訳。小説を英語でさらさら読めるほどの語学力ではないけど、きわめて平易で難しい単語も少ないので、速読の練習だと思ってがんばって…
ビートジェネレーションとか、ボブディランとかの文脈で、この本と著者の名前を聞いてたのですが、旅に出るときには旅行記を持って行くことにしてるので、今回ニュージーランドにこの本を同行させてみました。 「放蕩記」というタイトルは、林芙美子の本より…
職場の中の人間関係をどうやってよくして、協力体制を生み出せるか?というのは永遠の課題かもしれないけど(だって利害関係があるわけだから)、テーマがそこに絞れているところに興味をもちました。 問題点の分類の仕方や解決方法が、「どうしてそこ?ほか…
友達に勧められて読んだ。不思議な感触だな。耽美的、退廃的なようで、どこか健全で図太く生命力がまっすぐとしている。言葉は美しくなくもないんだけど、声に出して読んだときの音がきれいでない。口ずさんで鈴のようにコロコロと流れる文章ではない。クラ…
思ったより後味の悪い作品でした。仕返しのしかたが残虐。一見白人に見えるほど白人の血が濃い(8分の7)人のアイデンティティが、わずか8分の1だけを占める黒人であるということが不思議に思える。 リズミカルに手当たり次第に白人の女を抱くこんな生活…
先日「楽園」という本を読んだ、その同じ作家の作品。 HIV感染が発覚する少し前から、エイズ発症、徐々に数値が悪化していく中で書かれた自伝的手記。フィクション化されているのは人名だけと言ってもよさそうです。 当時20カ国語以上に翻訳されたけれど、今…
この人の本はだいぶ前に「殺人者の健康法」「午後四時の男」「畏れおののいて」と読んで、私自身も畏れおののいたものですが、久々に読書を再開するにあたって、この人のその後の作品を読まねば!と探してみたらやっぱりありました。そしてやっぱり美醜がせ…
なんだろう、ひとつも面白いと思えなかった。ストーリー展開があまりなく、一貫して「ミッション」氏の心の中の物語が進行します。露悪的?な脚注が延々と続きます。ブレードランナーは原作も映画みたいに賑やかでストーリー進行がしっかりしたものだったん…
これも、うるさいというか、忙しく人が行き交い大騒ぎする小説でしたが、やはりテーマはどこまでも深い。純真無垢な少女の気まぐれな意地悪や霊感の強さ。それが「悪霊の仕業」なのか否か?悪霊を祓うよう命じられてやってきた30代の司書が、彼女の奔放な美…
The Who昔から好きなんで読んでみた。ギタリストというかバンドの屋台骨であるピート・タウンゼンドの散文集。書かれたのは、The Who甲斐さん語の1985年。解散してからそんなにたつんだな。 ごつごつして読みにくいと最初は思ったけど、何の枠にもとらわれな…
やさしい小説でした。しかも、ほぼ実話らしい。かんたんに言うと、アメリカ南部で頑固に家族を守って生きてきた老人が、愛妻に先立たれてから自分が亡くなるまで、徐々に弱っていく彼をどこからともなく現れた不思議な白い犬が支える、という小説。 アメリカ…
二段組み300ページの長編ですが、2日で読了。 タイトルから想像した“禅の世界”的な静けさのない、うるさいくらい賑やかな小説で、一族の男たち女たちが欲張ったり攻撃したり意気消沈したり、煩悩の限りを尽くすのが面白くて、ずんずん読めます。 初心者とし…
タイトル借り。 著者のことは知らなかったんだけど、「ぼくの命を救ってくれなかった友へ」という本を書いてエイズを告白し、90年代に話題になった人なんですね。この本で描かれている美しく退廃的な生と死の裏に、そういうことがあったのか、と腑に落ちる…
小説を読むということは、特に意味もなくスマホのゲームをやり続けるのと同じくらい、自分にとっては“やすやすとできて楽しいから、ついつい溺れてしまうこと”のひとつです。だから小説ばかり読まないように気をつけていた時期もありました。 最近は中毒のよ…
南米で撮影された、素晴らしい映画を見ているようでした。 小説はとっても短くて、文庫本143ページなんだけど、情景が浮かぶ作りになってるのです。立ち位置やカメラの視点まで設定して書いたんじゃないかと思うくらい、この小説は映画なのです。 町の広場と…
なんで今この本を読むかって? いちおう入会してるけど全然行ってない、とある勉強会の課題図書になったから。 読み込んで要約して発表する気はないけど、いつも課題図書は読んでる。 感想:おもしろかった。笑えた。 デカルト氏はたぶん、この時代のフラン…
芥川賞受賞作の「パークライフ」が好きで、「悪人」も泣けたし「さよなら渓谷」も「横道世之介」もよかった。図書館に寄ったので、思いついてこの作家の本を2冊借りてきたわけですが。 この本は、良くも悪くもないという印象です。 離婚しかかってる夫婦や、…
モーニングに最初に載った日から私の度肝を抜いた、「クレムリン」の作者、カレー沢薫のコラム集。毒舌というか皮肉というか、類いまれな感性がすばらしいけど自虐癖がはなはだしくて、ここまで来るとちょっと違和感もあります。 たとえば、本人も書いてるけ…
単に「ビッグデータ」といわれても自分との関係が見えにくいのですが、この本は自分が売っているものと、Facebookやtwitterの情報をつなげるための、比較的簡単な方法をざっくりと説明してくれます。 ITの専門家二人による本だからか、知ってるよというコト…
週末に東京駅のKITTEの中の本屋で見かけて、なんてステキな本なの!と思ったんだけど、買わずに帰ってしまったのでのちほど別途入手。 「暮しの手帖」の現・編集長が、彼の考えるセンス(選択する能力、本書内では「美徳」とも呼ばれる)を養うためのヒント…
ITをイットと読んでしまうような人にはぜひ読んでほしいし、FBとかLINEとかはやってるけどそれだけという人なら十分この本の恩恵が受けられると思います。ざっくりと産業全体が概観でき、ITビジネスの本質が理解できそう。 ただ、IT企業に10年以上いた者が読…
言わずと知れたDeNA取締役の南場さんの著書。 走って走って走り続けてきた、走り続けている、彼女と彼女の仕事のことが、明るく楽しく描かれた本です。(大変だったことも含めて) パワフルで前向きで、どんな困難にあっても諦めないすごい人だと思い、尊敬…
この年末年始、ベルリンに行ってきました。 ドイツは3回目だけど21年ぶり。当時からずっとドイツ在住のいとこの家で新年を迎え、その後ベルリンへ。ベルリンに住むいとこの友人と一緒になった縁で、ベルリンの町を案内してもらうことができました。 その親…