2015-01-01から1年間の記事一覧
1冊目の続編ではなくて、焼き直しみたいな本だ。同じことが繰り返し語られてて、ちょっと飽きる。 繰り返し語られることを聞いているうち、日本人の働き方について、この人には心情的に理解できないことがあるんだな、ということがわかってきました。 勤勉…
これは経済の本?日本人論?どっちでもあり、どっちにも寄らないような本です。著者は、イギリス出身でオックスフォード大学で日本学を学んだあと、数社を経てゴールドマン・サックス証券在籍時に日本に長く滞在し、今は日本の文化財を修復する会社の経営者…
この作家の一番初期の、学生時代のちょっととんがった短編などが収められています。これは面白い。どろっとしたイメージが渦のように回りながら混じり合っていく、というのがビジュアル的な印象。押し込めていたエネルギーが、どっと放出されるています。 な…
エキゾチックで、妖精がいそうな森での不思議な気持ちを描いてるんだと思うけど、実際以上に薄暗く描いている気がしてあんまりぐっとこなかったです。
これはすごく良かった。子どものような素直な気持ちで、この人が素晴らしい本や素敵な人たちに触れてさまざまなことを感じるのが、熱く伝わってきました。 どうしてこういう小説を書かないのかな?小説はどれも、うすら不幸な感じで、暗くはないけどちっとも…
せつなく深い小説だったけど、行き着くところがなかった。漂ったまま終わった。あまり手の入ってない昔ながらの漁港があって、昔から住んでる人たちには彼らなりの思いがそれぞれあるし、都会へ出て行った人たちにも、都会から戻ってきた人たちにも。何も深…
ふーむ、こういうのを書く人なのか。時間が行ったり来たりするし、ビジュアルがないとすぐには想像できないおばちゃんたちのバリエーション、主人公の個性の薄さ、などなど、簡単に入っていける仕組みになっていない小説です。そこの部分に手を加えて読みや…
女優の岸恵子が書いた、70歳の女性の60歳の既婚男性との恋。実話に基づくという噂も気になるし、女性のほうが10歳年上というのもかなりレアだし、70歳の女性の恋愛、とくに性愛は聞いたことがないので、科学的?興味も募ります。 恋の始まりって、細…
これがあのディストピアの伝説の小説か〜。 すごく面白くて、そしてなんともいえない終末観。 小説の半分くらい、体制に取り込まれるための自己改造に割かれてるのが衝撃でした。読んでいて、書いてる人が反体制なのか体制派なのかわからなくなってくる。 世…
三島由紀夫が大衆雑誌に書いたこういう小説って、ほんと面白い。人間の心より奥の体の芯みたいなところに眠ってる、性というものを深く掘り出してきます。いつものように、若干上から目線。読者が非インテリであることを前提として、読後感は軽く抑えてあり…
なんて面白い本なの!三島由紀夫という人を誤解してました。彼は頭でっかちの天才マッチョなんじゃなくて、人間の裏も表もすべてわかり尽くして、贅沢も思いのままもやりつくした人だったんだ。。。彼が読者にお手紙指南をするという体裁で、架空の5人の人…
どうしても「ロスト・ワールド」「メトロポリス」「来るべき世界」が読みたくて、図書館で借りました。しかし、1冊にずいぶんいろいろ入ってると思ったら、どの作品もごく一部しか載せてません。プレビュー版です。トライアル版です。あ〜あ。 といっても、…
著者はドキュメンタリーを撮っている映画監督で、彼の「精神」という映画を見たことがあります。マイケル・ムーアの映画とか見てると、ドキュメンタリーって結局フィクションだな、気を抜いて見ていると監督の考えが刷り込まれるようになっている・・・と思…
紀伊國屋書店新宿本店に立ち寄ったら、なんかすごく一押ししてたので読んでみました。確かに面白かった。いまどきのエンタメ小説(伊坂幸太郎ものとか、「悪夢のエレベーター」とか)のような軽快なトーン、先が読めない展開とどこか厭世的な主人公で、1968…
ブレードランナー等の映画のベースとなったと言われている「1984年」などを書いた作家のジョージ・オーウェルは、実は若い頃パリとロンドンで困窮の限りを尽くした底辺生活をしていました。そのときの生活を詳細につづったドキュメンタリー作品です。 とにか…
面白かった。 戯曲は読み慣れないので最初読みづらいかなと思ったけど、サラサラ読み進めました。 舞台化された後の書籍化で、キャストやスタッフのリストも巻末についているし、舞台写真までそこここに挟み込まれているので、イメージしやすいのです。 いろ…
この人の作品に出てくるのは、”こじらせ女子”っていうんでしょうか。素直じゃなくて、他人との距離がとれずに、どんどんドツボにはまっていって、はまったままになってしまう強烈なネガティブさ。 でも、他の人の作品なら、そういう主人公は男にモテないもの…
どうも日本人らしいのになぜか「リンデ」という名前の主人公。 彼女が彼氏(のちに夫、その後もと夫)や友人とあらゆる小さなことでもめたり、すべてを他人のせいにしたりしながら成長?して、偏屈な独居老人になる様子を彼女の人生からぽつぽつ切り抜いたよ…
いま国立新美術館でニキ・ド・サンファル展をやっていて、それに合わせて作られたこの本も売店で売られていたので買って読んでみました。 ニキとヨーコ 下町の女将からニキ・ド・サンファルのコレクターへ 作者:黒岩 有希 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: …
卑屈で鬱屈していて不思議な世界。 「腑抜けども」と同じモチーフがいろいろ形を変えている。 かわいいのに卑屈な奈々瀬は、「腑抜けども」の兄嫁と妹のミックス? 兄は兄、兄の同僚の彼女=奈々瀬の友達は女優勘違い姉のマイルドバージョン? 面白いし不思…
やまだないとの映画感想本に近い感覚。 この人の原作の映画(腑抜けども、悲しみの愛を見せろ)がすごく面白かったので、きっと面白い人だろうと思って読んでみました。 予想通り、おおむね私と近い感覚でした。カワイイカワイイとか感動感動とかに抵抗を感…
仏教書みたいだった。 登場人物に作者自身の思いを語らせる部分が多すぎる小説は、おもしろくないし、エンタメ性がどんどん下がっていく。 それにしても、すっきりしてる。「コンセント」「アンテナ」「モザイク」という流れで、爆発して、それを少しずつ収…
雑文集、なのかな。詩やエッセイのような文章で、そのときの自分をなんとかそのまま表そうとがんばっている。文章の表面は穏やかだし、表現は明るい。これがこの人の普段の感じなんじゃないかな。 だけど目や耳や口の穴が真っ黒く開いてそこからどろどろのも…
三部作の完結編だそうです。今度はエログロは全くありません。少年と若い女性の強くて繊細な冒険ストーリー、という印象でした。”まもなく渋谷の底が抜ける、渋谷は完全に電子レンジ化する”というキャッチコピーですが、街を縦横無尽に駆け巡るのではなく、…
一斉を風靡した「コンセント」に続いて書かれた、三部作の二作目。すごい小説でした。エロ、グロ、と呼ぶ人もいるかもしれない。でもこの人のエロスは人と人とのコミュニケーションであって、心じゃなくて人間の体のパーツを愛でるフェチの対極にある。この…
図書館の「ご自由にお持ち帰りください」コーナーにあったのを持って帰って読んだのですが、すごく面白かった。最近図書館は、リクエストの多いベストセラーばかりになって、こうやって放出される本のほうが面白いんじゃないかと思ってしまいます。 田口ラン…
アメリ・ノートンのパパの書いた本。娘の小説は、おそろしくアクが強いけどとても端正で文章が綺麗だと思う(翻訳しか読めないけど)。お父さんの文章も、丁寧で綺麗で(これも翻訳しか読んでないけど)、明るく社交的。若い頃にコンゴで4ヶ月間も人質にな…
「裸のランチ」はあんまりよくわからなかったけど、これは面白かった。といっても、わかったとは言えないし、どこがどう面白かったか説明するのも難しい。奔放だけど知的でなんか学術的っぽくもあるイマジネーション。みたいな感じ。ただ、「自由」は好きだ…
すばらしい小説だった。たぶん原文も良いんだけど、翻訳がとても自然で(少し古めかしい日本語。それこそ小津安二郎の映画みたいな)、なんの違和感もなく読めた。池澤夏樹の解説もすばらしい。作品も深いけど解説はさらに深い。池澤は、イシグロの作品は普…
だいぶ時間が空いたけど、「オン・ザ・ロード」「吠える」に続いてビート派を読んでみました。というか飛ばし読みしただけ。ユニシスの前身のバロウズ社の社長の息子だったんだ、この人。とんでもない放蕩ボンボンだなぁ。でもこういう人が思いの外長生きし…