2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

本谷有希子「ぬるい毒」359冊目

この人の作品に出てくるのは、”こじらせ女子”っていうんでしょうか。素直じゃなくて、他人との距離がとれずに、どんどんドツボにはまっていって、はまったままになってしまう強烈なネガティブさ。 でも、他の人の作品なら、そういう主人公は男にモテないもの…

本谷有希子「自分を好きになる方法」358冊目

どうも日本人らしいのになぜか「リンデ」という名前の主人公。 彼女が彼氏(のちに夫、その後もと夫)や友人とあらゆる小さなことでもめたり、すべてを他人のせいにしたりしながら成長?して、偏屈な独居老人になる様子を彼女の人生からぽつぽつ切り抜いたよ…

黒岩有希「ニキとヨーコ」357冊目

いま国立新美術館でニキ・ド・サンファル展をやっていて、それに合わせて作られたこの本も売店で売られていたので買って読んでみました。 ニキとヨーコ 下町の女将からニキ・ド・サンファルのコレクターへ 作者:黒岩 有希 出版社/メーカー: NHK出版 発売日: …

本谷有希子「乱暴と待機」356冊目

卑屈で鬱屈していて不思議な世界。 「腑抜けども」と同じモチーフがいろいろ形を変えている。 かわいいのに卑屈な奈々瀬は、「腑抜けども」の兄嫁と妹のミックス? 兄は兄、兄の同僚の彼女=奈々瀬の友達は女優勘違い姉のマイルドバージョン? 面白いし不思…

本谷有希子「この映画すき、あの映画きらい」355冊目

やまだないとの映画感想本に近い感覚。 この人の原作の映画(腑抜けども、悲しみの愛を見せろ)がすごく面白かったので、きっと面白い人だろうと思って読んでみました。 予想通り、おおむね私と近い感覚でした。カワイイカワイイとか感動感動とかに抵抗を感…

田口ランディ「キュア」354冊目

仏教書みたいだった。 登場人物に作者自身の思いを語らせる部分が多すぎる小説は、おもしろくないし、エンタメ性がどんどん下がっていく。 それにしても、すっきりしてる。「コンセント」「アンテナ」「モザイク」という流れで、爆発して、それを少しずつ収…

田口ランディ「オカルト」353冊目

雑文集、なのかな。詩やエッセイのような文章で、そのときの自分をなんとかそのまま表そうとがんばっている。文章の表面は穏やかだし、表現は明るい。これがこの人の普段の感じなんじゃないかな。 だけど目や耳や口の穴が真っ黒く開いてそこからどろどろのも…

田口ランディ「モザイク」352冊目

三部作の完結編だそうです。今度はエログロは全くありません。少年と若い女性の強くて繊細な冒険ストーリー、という印象でした。”まもなく渋谷の底が抜ける、渋谷は完全に電子レンジ化する”というキャッチコピーですが、街を縦横無尽に駆け巡るのではなく、…

田口ランディ「アンテナ」351冊目

一斉を風靡した「コンセント」に続いて書かれた、三部作の二作目。すごい小説でした。エロ、グロ、と呼ぶ人もいるかもしれない。でもこの人のエロスは人と人とのコミュニケーションであって、心じゃなくて人間の体のパーツを愛でるフェチの対極にある。この…

田口ランディ「縁切り神社」350冊目

図書館の「ご自由にお持ち帰りください」コーナーにあったのを持って帰って読んだのですが、すごく面白かった。最近図書館は、リクエストの多いベストセラーばかりになって、こうやって放出される本のほうが面白いんじゃないかと思ってしまいます。 田口ラン…

パトリック・ノートン「能楽師になった外交官」349冊目

アメリ・ノートンのパパの書いた本。娘の小説は、おそろしくアクが強いけどとても端正で文章が綺麗だと思う(翻訳しか読めないけど)。お父さんの文章も、丁寧で綺麗で(これも翻訳しか読んでないけど)、明るく社交的。若い頃にコンゴで4ヶ月間も人質にな…