2017-01-01から1年間の記事一覧

伊坂幸太郎「死神の精度」424冊目

だんだん、ジャンル分けってあんまり関係なくなってきてる気がしますね。「漁港の肉子ちゃん」にも、最後に明かされる謎があったし、この本の場合「事件」が起こって人が死ぬことはミステリー的だけど、犯人探しやトリック解きの側面はありません。 この本は…

西加奈子「漁港の肉子ちゃん」423冊目

西加奈子らしい作品だなぁ。太っているけど、変な顔をするけど、あたたかくて大好き、という世界。この人の世界には、人と交わることに対する強い不安があるけど、本格的な脅威や絶望は存在しない。読んでる自分は今けっこう、絶望的な気持ちだったりするの…

浅生鴨「アグニオン」422冊目

Twitterで有名なNHKPR1号さんがNHKを退職して作家になった。それがこの人で、彼の初めての小説がこれです。twitterは在職中も今もフォローしてるし、彼のやけにナイーブで正直な感性がとても面白いといつも思ってたので、いつか読もうと思ってたんだけど、い…

ミルチャ・エリアーデ「マイトレイ」421冊目

池澤夏樹が選んだ「現代世界の十大小説」っていう新書(後日、こっちも感想を書く予定)の中で選ばれてたので、図書館で借りてみました。ルーマニア人の若者がインドで研究中に下宿をさせてもらった名家の令嬢と恋に落ち、父親に仲を引き裂かれた、という著…

東野圭吾「犯人のいない殺人の夜」420冊目

うーむ、黒い。目をそむけたくなる人間の暗部を晒す傑作選、ってかんじです。この短編集に収録されている作品には、以前「東野圭吾ミステリー」みたいなタイトルの1話完結ドラマとして放送されたものがいくつもあります。たとえば冒頭の「小さな故意の物語…

森瑤子「デザートはあなた」419冊目

ある”業界人”の男が、彼を取り巻く麗しき女性たちに様々な料理を自ら振る舞い、その度に「デザートは、あ・な・た」(実際は恋人以外は食べないんだけど)、っていうバブリーな短編集。バブルというより、高度成長期の香りさえする1991年発行作品。まだ弾け…

岡嶋二人「解決まではあと6人」418冊目

いいな、こういう本格ミステリー。ガッツリとくる読み応え、堪能しました。説得力のある仕掛けとしっかりとした構成力。読者としてミステリーを長年楽しんできた人にしか書けない(と思う)お楽しみがたっぷりの作品でした。さすが、(今なぜ)Book1stイチ推…

羽田圭介「成功者K」417冊目

20年ぶりくらいかも、文芸誌を買ってみたらこの長編がまるまる載ってました。なにこの人、露出狂的私小説家?と思いながら読み進めていくうちに、いや違うな、できすぎてる、とうっすら気付くんだけど、面白いので乗せられたまま進んでいきましょう。 感想:…