2025-02-01から1ヶ月間の記事一覧

柚月裕子「教誨」1086冊目

一気に読んでしまった。わりと硬質で修飾の少ない文体のように思うけど、とても読みやすい。人物もストーリーも、大げさに見せようとするところがない。 昔から、何をやってもうまく回らず、運に見放されたのか、としか言えない人がいる。そういう人が犯罪者…

東野圭吾「あなたが誰かを殺した」1085冊目

面白かった。最初から最後まで、いろいろ疑いながら読んでしまった(←かずかずのイヤミスや映画にまみれて、変な知恵がついてしまった嫌な読者) 怪しんでいたことが、結末に近づくにつれて畳みかけるように発露してきて、意外性もあるけど、ほう、なるほど…

月吹文香「赤い星々は沈まない」1084冊目

「R-18小説大賞」受賞作。といっても検閲でひっかかるようなセクシュアルな表現は皆無で、燃え上がる性ではなく細々と消えかかっている性のほうを多く描いた短篇集でした。 表題作「赤い星々は沈まない」は、介護施設で数々の老人に夜這いを続けるキヌ子さん…

加藤シゲアキ「なれのはて」1083冊目

<後半のストーリーにふれています> 3年前に「オルタネート」を読んだとき、予想外に本格的な書き手だ、この後直木賞候補とかになってほしい、と書いてました。あの小説の印象は、全体的にはジュブナイル小説のように思えたけど、「なれのはて」は実に力の…