本)文学、文芸全般

チャールズ・ブコウスキー「死をポケットに入れて」644冊目

ブコウスキーのドキュメンタリー映画をたまたま流れで見たら、酔っぱらいで競馬好きだけど、どうもこの人は好きかもしれないと思ったので、作品を読んでみました。詩人で小説家でもあるけど、これは日記というか日々のエッセイです。 やっぱりなんか好きだわ…

三島由紀夫「午後の曳航」643冊目

Eテレでやってた「今夜はトコトン“三島由紀夫”」で、出演者が推した作品を何冊か読もうと思ってます。一時期、彼の”通俗小説”を何冊か読んだことがあったけど、これは初めて。主人公は13歳、まだ子どもに見える、変声期も迎えていない男の子だけど、三島由紀…

恩田陸「祝祭と予感」642冊目

「蜜蜂と遠雷」を読んだのが3年前、映画を見たのが2年前なので、だいぶ時間が経っちゃいました。発売後すぐ図書館に予約を入れて、やっと昨日届いたというわけです。私のあとさらに136人がお待ちかねなので、一晩で読んでしまいました。今日さっそく返そうと…

ラビンドラナート・タゴール「ギタンジャリ」641冊目

「あるヨギの自伝」に出てきた、宗教家・詩人でノーベル文学賞の受賞者、タゴールの作品。詩人で宗教家ってどういうことだろうと思ったら、この本はすべて彼の神への思いをつづった愛の詩集でした。 人間ってたいがい、救われたい、愛されたい、と強く思う一…

崔実「pray human」640冊目

前に「ジニのパズル」を読んでとてつもなく切ない気持ちになったなぁ。これは彼女の次の作品であり最新作。読んでてすごく辛くなるんじゃないかなと思いながら読み始めて、最初のほうはけっこうチクチクしてたんだけど、まず、すごく面白かったと言いたい。…

森博嗣「トーマの心臓」629冊目

先に萩尾望都のまんがを読んで、こっちも読んでみることにしました。森博嗣がノベライズ?したもの。 読み始めてみたら、けっこう小説と違う。トーマのほんとうの死因はなかなか明かされない。ユーリとエーリクが出会うのは墓地ではなくて公園。出かけた先で…

佐藤正午「小説の読み書き」628冊目

佐藤正午の本は全部読んでるし持ってる上に、ときどき読み返す。そんな作家はこの人しかいないのだ。なるべく全部読む作家は他にもいるけど、借りるか、買ってもすぐ売るので手元に残らない。というわけで佐藤正午の本はいつでも読み返せる。 1章毎に1人の…

萩尾望都「恐るべき子どもたち」622冊目

続いて読んだのがこれ。映画を見たつもりだったけど見てませんでした。漫画は漫画家の理想をそのまま 絵にできるので、現実離れした他人の空似や、キャラクターを完璧に画像化することもできるけど、映画には役者自身や役者どうし、その場のマジックがあるか…

萩尾望都「11人いる!」621冊目

Eテレの「100分de名著」恒例の年末年始特番で「100分de萩尾望都」という番組をやっててたのを見て、読みたくなって借りてきました。 私も小さい頃から、日本の少女として正しく少女マンガを読みふけったものでしたが、萩尾望都作品は(む、むずかしい…わから…

柳美里「JR上野駅公園口」613冊目

外国で翻訳文学賞をとったと聞いて、さっそく読んでみたら、この人は創作家である前に社会活動家だ、と思いました。実際のところ上野のホームレスの人たちは、ホームレスでない人たちと同じように幸せになろうとして生きてきたんだけど、ホームレスになった…

崔実「ジニのパズル」611冊目

胸に来た。この子を静かに抱きしめていたい、と思った。抱かれるのが苦手な猫みたいに、ふんわりと膝に載せて。 感受性が強すぎて、すぐ泣いてしまいそうだから、お面のように顔をこわばらせて暮らす。そうしないと、泣きっぱなしではどこにも行けない、何も…

浅生鴨「猫たちの色メガネ」570冊目

今まで読んだこの著者の本のなかで一番、「遠くに連れて行ってくれる」ような文学の楽しみがありました。それでも、なんとなく説明的で親切すぎて、もっとほったらかしにしてほしいような気がする。これはやっぱり、著者が長年関わってきたのがテレビってい…

川越宗一「熱源」564冊目

面白かった。すごい力作。アイヌの人たちが主役で時代は明治なんて、設定が斬新!と思いながら、三分の二くらいまで、まるきりフィクションだと思って読んでたのに、事実にもとづく小説だったなんて!という驚きも大きい。これ、「坂の上の雲」みたいに何回…

小林エリカ「マダム・キュリーと朝食を」562冊目

ふむ、興味深い小説です。 理屈と史実とファンタジーを、猫と少女が別々に、軽やかに、飛び回る。重層的で、感覚的に理解しづらい人もいると思うけど、私はするっと入れました。 この間テレビで加藤登紀子とこの著者との脱・原発対談(「SWITH×Interview」)…

Min Jin Lee「Pachinko」521冊目

今まで洋書は何冊買っても積みあがるだけだったんだけど、これは一気に読み通しました。韓国系アメリカ人の女性が、朝鮮半島から日本に渡ってきて暮らしている家族4代について書いた小説なのですが、アメリカではベストセラーになったそうです。 アイスラン…

朝井リョウ「世にも奇妙な君物語」504冊目

朝井リョウってすごく「うまい」作家だと思うけど、この小説では文章より、着眼点やギミックの巧者という印象がありました。 どの短編も視点がちょっとイジワルで、しかも最後の最後に”脇役バトルロワイヤル”という趣向を持ってくるというひねくれっぷり。こ…

パブロ・ネルーダ「2000年」「大いなる歌」502、503冊目

「イル・ポスティーノ」という映画を見ました。イタリアの小さな島に、南米チリを政治亡命した詩人がやって来て、彼の家に毎日郵便物を届けるだけの仕事をしている地元の青年と交流する、という映画。その詩人が実名でパブロ・ネルーダなのです。彼がそうい…

川村元気「億男」501冊目

ヒットメーカーの小説、さすがの面白さ。 ただ、人気漫画のあらすじを読んだような気持ちで、理解できるし面白いけど、きれいにまとまりすぎていて心に引っかかるものがなかったです。「シェルタリング・スカイ」?と思われる北アフリカが舞台の映画が出てく…

朝井リョウ「何様」500冊目

面白かった。実に面白かったです。 「桐島」は”スクールカースト”という、存在するのかもしれないけど私が一番無視したいものについて語られることが多すぎて、この作家を評価できないままになっていたんだけど、この本を読んで、朝井リョウという人の観察力…

村田喜代子「焼野まで」493冊目

ほぼ、ガンになった村田喜代子自身の闘病記なのかな?八幡ものではガンが見つかってからあまり長く生きられなかった「ミツ江」はこの本では長生きして、自分自身のほうが闘病しています。モデルになったオンコロジーセンターを調べまくってしまったくらい、…

村田喜代子「八幡炎炎記」「火環」491-492冊目

敬愛するレジェンド村田喜代子の新作。自伝とまでは言わないけど、鉄鋼の町での自分の生い立ちをモチーフにした小説です。ヒナ子は「ツクシみたいな女の子」。優しいけど子どもの気持ちはあんまりわからないおじいちゃん・おばあちゃんに娘として可愛がられ…

原田マハ「リーチ先生」486冊目

全くのフィクションなんですね。朝ドラみたいなものかな。バーナード・リーチ、濱田庄司、柳宗悦、富本憲吉、高村光太郎・・・など実在の人物の中に、亀ちゃん、その息子、といったこの物語の中だけの人物が登場して、狂言回しのように彼らの努力を支えます…

島田雅彦「カタストロフ・マニア」480冊目

図書館で予約してたのがやっと届いた。SF的な小説で、主人公は20代のオタクな青年。「カタストロフ・マニア」というのは彼が夢中になっているゲームのタイトルで、臨床治験で病院に閉じ込められてる間もずっとやってる。ある日病院で目が覚めたら、誰もいな…

恩田陸「終わりなき夜に生まれつく」474冊目

ファンタジー小説というべきかな?「在色者」、”色”という特殊能力をもつ若い青年たちのエピソードを集めた短編集。恩田陸の作品は、純文学に近いものしか読んだことがなかったので、こういうファンタジー的なものはちょっと意外だけど、前のめりで登場人物…

島田雅彦「深読み日本文学」473冊目

先日NHK文化センターで講義を受けて感動した島田雅彦が、日本文学を存分に語った1冊。200+ページの新書なのですぐに読めます。語り口が目の前で話してるようで読みやすい。そして偏っている。講義と同じだ。偏愛日本文学。文学もだけど政治に関しては一…

松尾スズキ「同姓同名小説」472冊目

2002年の小説。16年前だ。みのもんた、川島なお美、田代まさし、小泉孝太郎といった実在の人々(と同姓同名の誰か)を主人公とした短編集ですが、今やお亡くなりになった人もいれば、話題に上らなくなった人もいて、こういう本を16年後に読むのってもし…

恩田陸「蜜蜂と遠雷」469-470冊目

蜜蜂と遠雷 面白かったー!恩田陸の本はいつもだけど、感受性が鋭敏かつ強靭で、それを文章にする力が高いですよね。そして、音楽と音楽家に対する愛情に嘘がない。本当にすごい作家だなぁ。なんかバカみたいにベタ褒めだけど。 登場人物がそれぞれ痛みも喜…

中上健次「千年の愉楽」468冊目

面白かった。実際、ガルシア・マルケスの「百年の孤独」に似てるところがたくさんあるし、独特の、私が思っている典型的な日本の風景とは違う風景を見せてもらえてすごく面白かった。高貴で濁った血が流れる中本の美しい若者たちって、どうイメージすればい…

ミシェル・ウェルベック「服従」467冊目

フランスにイスラム政権が発足する、という小説。「え!?』極右政党が一般人を攻撃するようになり、穏健派で常識派のイスラム党の党首に一気に人気が流れて、まさかの選挙結果により左派とイスラム党による連合政権が発足するんだけど、党首の実力で彼が大…

ミハイル・ブルガーコフ「巨匠とマルガリータ」465冊目

ものすごく面白い小説だった。荒唐無稽、抱腹絶倒、でも愛あり涙あり(あったっけ?)、しかし破綻なく、信じられないくらい新しかった。 読み進めるにつれて感じたことを時系列的に書くと・・・最初は悪魔らしき人物が登場してショッキングな事件を予告する…