莫理斯「辮髪のシャーロック・ホームズ」853冊目

これは面白かった! ツカミが最高ですよね。シャーロック・ホームズものは最近かずかずのリメイクが行われていますが、辮髪は初めてです。 という引きが強くてさっそくページをめくってみると、「序」に昔の中国っぽい意味不明な漢語が並んでいます。くじけ…

セーアン・スヴァイストロフ「チェスナットマン」852冊目

面白かった。翻訳もいいんだろうけど、ぐいぐい読ませる、確かな筆力のある作家だなと思います。 でもね、わたしは猟奇殺人は好かんのですよ・・・この本も、のっけから不必要に残酷な殺人があり、それに根拠を与える積年の恨みつらみが徐々に提示される、と…

高木啓成「弁護士で作曲家の高木啓成がやさしく教える 音楽・動画クリエイターの権利とルール」851冊目

これは仕事用。まさに今必要な本なんだけど、読み切れなかったので、買います。そもそも、一度読んでどうこうじゃなくて、こういう本は手元に置いて、わからない点が出てきたときに参照するものですね。 ちゃんと読んでからまた感想書き直します! 弁護士で…

日本SF作家クラブ編「ポストコロナのSF」850冊目

コロナ禍という状況が浸透してきた2021年4月の発行。なんともタイムリーで素晴らしい企画です。これね、19人もの作家(比較的若手が多い)が30ページくらいの短編を競作していて、大変読みごたえがあります。感染症が蔓延したあとの未来を描いてみたり、今そ…

チャールズ・ブコウスキー849冊目「町でいちばんの美女」

ブコウスキーはこれで3冊目。とても短い短編がたくさん収録されている本です。 冒頭の表題作は、美しすぎるゆえに全く幸せになれない女性の悲しくも美しい話で、やっぱりブコウスキーはなんだかんだ言って女性愛の人だなぁと思う。 「人魚との交尾」は映画「…

ヘレン・ケラー「奇跡の人 ヘレン・ケラー自伝」848冊目

このタイトルが誤解を呼んだんだな。原題は「The Story of My Life」。「奇跡の人」はサリバン先生のことなのだ。(「ヘレン・ケラーはどう教育されたか」の感想にも書いた)まさに、2冊が対をなしている良著です。 と同時に、人はどうやって言語を習得する…

岸俊彦・編「東京の生活史」847冊目

この人の本は何冊か読んでとても好きなんだけど、読むと、とてつもなく切ない気持ちになることがある。自分が見ないようにしている自分の暗さを思い出して、空騒ぎして自分で自分をなんとか楽しませようとしてる自分がむなしくなってくる。 この本でも、東京…

村田喜代子「飛族」846冊目

<ストーリーや結末に触れています> この人の本を読むのは久しぶり。好きな作家のひとりだけど、評価が確固としている分、いつでも入手できるので、つい後回しにしてしまう。 最近の小説には、老婆か初老の女性が多く登場する。この小説は老婆2人、初老1…

白洲正子「鶴川日記」845冊目

これもまた「一万円選書」から。白洲正子、お姿とお名前はよく知ってるけど、書かれたものを読むのは初めてです。 少し前にたまたま、鶴川に住む友人宅に伺うことがあって、車で「コメダ珈琲店」に連れて行ってもらったりもしたのですが、町田市の中心とはち…

藤本義一・選、日本ペンクラブ・編「心中小説名作選」844冊目

<すみません、全部ネタバレ書いてしまったので、これから本を読むつもりの方は以下読まないでください> 心中ものって歌舞伎とかでも嫌いな方なんだけど、理由があって読んでみました。 理由というのは私が愛読している作家、佐藤正午が今、突発性難聴に悩…

立川談四楼「ファイティング寿限無」843冊目

これも「一万円選書」の一冊。すごく面白かった。さすが落語家。テンポの緩急が絶妙で、スリルと落としどころの感覚も鋭いし、言葉の選び方にセンスが感じられる。「自分はこれを表現したい」というより、読む人のために純粋にエンターテイメントとして書い…

アン・サリバン「ヘレン・ケラーはどう教育されたか ‐ サリバン先生の記録 ‐」842冊目

1973年に出版された本。図書館の「保存書庫」から引っ張り出してきていただきました。 先日、たまたま1962年の映画「奇跡の人」を見てけっこう感動したんだけど、最初の言葉「water」で物と単語の結びつきを学んだ後、どうやってヘレン・ケラーは抽象的な思…

筒井康隆「パプリカ」841冊目

今敏監督のアニメ映画「パプリカ」がすごく好きで、今さら原作を読んでいます。きっかけは、これと同時期に筒井康隆(および多数の読者たち)が執筆中だった「朝のガスパール」を読んだこと。 夢の中にダイブできる世界の作品は、映画やSF小説でもう見慣れて…

筒井康隆「朝のガスパール」840冊目

読んでるとちょっと気分が悪くなる、筒井康隆作品のあの感じ。パソコン通信(私も少しやってた)の内輪っぽさとオタクっぽさ。これでも新聞小説という一般向けメディアなので若干は抑え気味な、それらの「あの感じ」が懐かしいような思い出したくないような…

福井県立図書館「100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集」839冊目

これは面白かった。ときどき声を出して大笑いしてしまった。こういう罪のない笑いって、ほんとなごみます。 この図書館の覚え違いリストは何度か見たことがあって、そのたびにクスクス笑ってましたが、この本はとても構成がよくて、間違ったほうのタイトルに…

スチュアート・マクブライド「獣たちの葬列」838冊目

原題は「A Song for the Dying」、死にゆくものへの歌。一方の邦題はバイオレンスアクションって感じがするけど、内容は原題とも邦題とも違って、クライムサスペンスだった。ただ、警官が悪いヤツや乱暴なヤツばかりで、スコットランドではそうなんだろうか…

「合同会社設立・登記・運営がまるごとわかる本」837冊目

去年から帳簿をつけはじめた自営業の私。たまに人から「会社組織にしないの?」と言われる。するなら、人は雇わず一人でやるので合同会社だ。会社にした方がお得な部分と、しない方がお得な部分があるので、利益がどれくらいになったら会社にするといいのか…

村田喜代子・酒井駒子ほか「暗黒グリム童話集」836冊目

素晴らしく美しい本でした。 小説家6人×画家6人の組み合わせで、グリム童話をベースにした新作の怖い童話を作り上げています。文字数も絵の数もたっぷりとってあるので、美しいだけじゃなくてストーリーも深くてすごく読み応えがあります。 村田喜代子はそも…

アガサ・クリスティ「未完の肖像」835冊目

「春にして君を離れ」に続いて読んだ”メアリ・ウェストマコット”名義の小説。 重かったなぁ。若くて純真な女性の一途さが傷つくと、きっと誰しもこんな経緯をたどるんだろうと思う。そこから枝分かれして、人を赦せるようになったり、人をもっとよく知るよう…

東田直樹「世界は思考で変えられる」834冊目

最初は自閉症の人の内側の気持ちが知りたくて読んだけど、この人の文章が好きになって何冊か読んでます。反射的に人とうまくやれる人は深く考える必要がないかもしれないけど、不器用な私は、なぜうまくいかないのか考える。そんなときに、考え続ける東田さ…

アリスン・モントクレア「王女に捧ぐ身辺調査」833冊目

前作につづいてこちらも読んでみました。 1作目は、二人の主役のバックグラウンドを読むのが楽しかったけど、2作目の前半は説明が必要以上に詳しく感じられてちょっと飛ばしたくなってしまった・・・でも、ストーリーがぐいぐい動き始めてからは引き込まれて…

堂場瞬一「ラスト・コード」832冊目

知り合いが読んでいたので、初めてこの作家の小説を読んでみる。 ミステリーというより警察小説かな? 手練れだなぁ。まったく無理のない、流れの良い文章、ストーリー運び。ここまで”引っ掛かり”のない小説も珍しいくらい、面白くするする読める。しかも書…

川口加奈「14歳でおっちゃんと出会ってから、15年考え続けてやっと見つけた『働く意味』」831冊目

テレビでこの人の活動を紹介してるのを見た。「プロフェッショナル」かな? 子どもといっていい年齢でホームレスということに出会って、即ボランティアを始め、その後ずっと彼らを知り、彼らのことを発信し、彼らと共存するための活動だけに邁進している女性…

ジュール・ルナール「にんじん」830冊目

自分の人生は基本的に”黒歴史”だと思ってる。好かれようとして空回りして、自分のことが嫌いになることがあった。というか、だいたいいつもそうだ。そう自覚していてもなお、思い出したくないことがいくつかある。その一つがこれだ。小さいころ父がこの「に…

アガサ・クリスティー「春にして君を離れ」829冊目

<結末にふれています> どこで見たんだっけ?と確認したら、最近注目してる阿津川辰海「蒼海館の殺人」で章のタイトルに使われてた名作の一つだった。クリスティが「メアリ・ウェストマコット」名義で発表してた作品で、殺人が起こるようなミステリーではな…

ブレイディみかこ「This Is Japan 英国保育士が見た日本」828冊目

「ぼくはイエローで・・」で去年この著者の本を読むまで、うっすら名前を聞いたことがあるだけで全然知りませんでした。同い年で同じころにロンドンパンクにはまったところまでは同じだけど、私の親はぎりぎり私を大学に行かせてくれて、その後の道は違って…

アンソニー・ホロヴィッツ「ヨルガオ殺人事件」上・下826~827冊目

今回も面白かった。 思うに、①「ミステリーinミステリー」という仕掛けを楽しむための作品だということと、②アラン・コンウェイ作ミステリーにはアナグラム等の言葉遊びが大量に隠されている前提であること がポイントの小説なので、純粋にその部分を楽しむ…

神田松之丞(聞き手 杉江松恋)「絶滅危惧職、講談師を生きる」825冊目

面白かった。一人の男の生きざまとして読み応えがありました。テレビとかで見てると、ギラギラしていて貪欲に何かを追い求めてるようで、圧がすごいちょっと怖い人みたいに思ってました。人の話はちゃんと聞いてみるものだ。本当に師匠に心酔し、落語と講談…

小松みゆき「ベトナムの風に吹かれて」824冊目

映画を見たけど、当然ながらフィクション部分も多いだろうと思うので、原作を読んでみました。高齢のお母さんを連れて行ってみて、実際はどうだったのか?ということが知りたくて。 不思議なくらい、映画の印象に近かった。お母さんが階段から落ちて腰を傷め…

阿津川辰海「名探偵は嘘をつかない」823冊目

先にこの著者の「蒼海館の殺人」を読んだら、スムーズではないけどとっても面白かったので、評判のデビュー作をさかのぼって読んでみました。 これもすごく面白かった。過去の荒唐無稽ミステリーにリスペクトをささげつつ、さらにさらに無茶に無茶を重ねた設…