夏休みですから。一応。「集英社文庫 夏の一冊」の中から選んでみました。(レポートも書きあがってないのに)
じつは数ヶ月前に、午後半休をとって、寂聴さんの講演会にいってきたのですよ。感動しましたね。若々しくて美しいし、あったかくてポジティブ。「いいのよいいのよ。だいじょうぶだいじょうぶ。」と思えるようになることを、サトリの境地というのでしょうか。
小説から何から、とにかくよく書く人ですが、この本はエッセイ集です。1990年前後に書かれたものなので、時代がかったものも多い(若花田と貴花田とか)のと、当時この方はお寺をひとつ再建し、女子大の学長も勤めつつ、連載を5本だか7本だか持っていたということで、読んでいてもなんだか忙しい気のするエッセイばかりです。今はそれほど忙しくはされてないはずなので、もっとゆったりした読み物を読んでみたい気がします。忙しい身としては、読書でふだんと違う世界につれてってほしいんですよね。
しかしやわらかい尼さんです。お会いした誰々さんはいい男で、誰々さんは大変な美人だとかといった話が多いし、昔の人たちの経歴を語るときにかならず色恋ごとにも触れます。「人間の生は性によって発生し、性によって育ち、性によって終焉を遂げるのです。人生から性を差し引いて、なんの生きがいがあろうかと思います。私はれっきとした仏教徒ですが、この点だけ、お釈迦さまの教えと少し違う考えを持っています。」と言い切ります。お釈迦様のお考えはこの後に書かれていて、人間の煩悩の一番苦しいものは渇愛だから、それを滅ぼさない限り、心の平安も真の幸福も得られないというのだそうです。
でもチベット密教なんかだと結合仏もあるしね。そればっかり見ちゃうと初心者が誤解するからお釈迦様も用心深かっただけかも・・。
あと何冊か、小説も読んでみよう。