小倉昌男「経営学」50

栄光の?50冊目は、クロネコヤマトの宅急便~♪を作った人の本です。

ヤマト運輸は彼のお父様が興した会社で、戦前戦後を通じて関東一円の近距離輸送で成功してたんだけど、遠距離輸送で出遅れたためジリ貧になってきていた。三越の委託先としてたくさん仕事をもらってたのは、最初はよかったけど、あの岡田社長の下請けいじめに耐えかねていたときに、宅急便というビジネスを思い立った。最初は「郵便小包があるんだから、ぜったい採算合わないって」と社内外から反対の嵐だったんだけど、要は運送業ってのはトラックと人員をどう効率的に使うかということだと割り切って効率の高いロジスティクスを作りだし、迷ったら社是の「サービス第一、利益第二(何を第二にして捨てるかを書かないと意味ないんだって。なるほど)」に立ち返って、あくまでも良いサービスにこだわった結果、顧客が付いてきてくれた。

・・・まとめると、そんな感じです。

面白かったところ:

P39 「トレーラーシステムの導入」、p43「ロールボックス・パレット」の導入・・・トラックってものは走ってなければただの大きな荷物なのだ。なるべく長時間走らせるためには、積み下ろしにかかっていた1回2時間半という時間を最短まで切り詰めなければならない。トレーラーってのは、コンテナを積んで走る車なので、トレーラー車1台に対してコンテナ部分を数台買って、ステーションでは「すでに荷物を積み終わったコンテナの交換」だけを行うようにした。またコンテナの中には定型の車輪つき「ロールボックス・パレット」を積むようにしたので、車輪の高さの分隙間が増えたが、作業がぐっと楽になった。・・で、2時間半かかっていた荷積み作業が合計5分で済むようになった。

P41 「乗り継ぎ制」・・・東京大阪間の長距離輸送は3日かけて往復してたのを、中間地点の浜松で上りトラックと下りトラックのドライバーを入れ替えるようにして、2日で往復できるよう改善。輸送会社の中でもヤマトは本社が東京なので、労働者の意識も高く賃金も高かったので、長距離労働によるサービス向上ってのはできなかった。そのためにがんばって工夫したことが、労働者にとっても会社にとっても顧客にとってもwin-win-winな結果につながった。といういい話。

P68 個人宅配のアイデアの芽生え。P75~「宅急便」の商品化の過程。・・・小倉氏は当初、需要があるということと、赤字から始めてどうやっていつごろ黒字転換するか、ということばかり考えてたようですが、フタを開けてみたら「家庭の主婦はありがとうと言ってくれるし、現金で支払ってくれる」というメリットが初めて見えてきて、ドライバーの士気はあがるし、借入金で真っ赤だった会計がどんどん改善していったんだそうです。そういうことって大事なのよね。

P140 昨今の安易なリストラに対して。「会社はそもそも社員をなぜ雇っているのだろうか」事業を行うことで世の中に貢献したいという気持ちでやっているのなら、心を痛めずに社員を解雇したりできないはずだ。といいます。労働組合と向き合って話し合うやり方で、会社を一つにすることに成功した人が言うので、説得力があります。しかし私はそういう会社で働いたことがないような気がするなぁ~。アメリカの会社だから、ってのもあるけど、サブにいるというのも不利だ。会社の大きなことを決める人たちには、身の回りのことしか思い至らない人も多い。

P188 「赤ちょうちんで上司の悪口を云うのは、会社が好きだからだ。嫌いならさっさと帰って家族と過ごせばいい」そうかもね~。「ただし、陰口だけ言っていてもよくないので、それを表に引っ張り出すのが経営者の仕事だ」さらにその通りだ。

P193 労働組合と仲良くやっていたおかげで、顧客が「お正月も休まずにやってくれ」というのに応えて、労働組合の方から「社長、年中無休にしましょう」と言ってきたらしい。すごいなぁ。

てか労働組合って何をするための団体?無知でバカだから理解できてないところもあるけど、そういうのがある会社にいたことがないから、よくわからないんだよなー。

以上。