林真理子「ミルキー」88

はい、次は女性作家です。帯には『美しく、いやらしく- 恋とxxxxのためなら女はどこまでもずるくなる』とあります。ほんとにパパったら濫読、、(注:実父)

予想通りの内容。ファッション雑誌に連載されたものかと思ったら、単行本で2004年に発売されたものだそうです。

289ページに12編の短編の主人公はいずれも中年女性。いずれも生活に倦んで不倫に走ったり、女友達を妬んだり、エステや化粧品にお金をかけて優越感を持ったりしている、すごく「女」なひとたちです。「女」の部分の衰えをすごく感じていて、輝きを求めて痛々しいひとたち。

なんかこういうの、縁がないなぁ・・・というのが表面的な感想だけど、そういう露悪的な文章を書く中年女性作家の林真理子ってのはどういう人なんだろうな。私も女なんでいやらしい女の部分もあると思うけど、バブルのときに贅沢した記憶もないし、自分が女なのはたまたまX染色体しか持って生まれなかっただけで、Yも受け継いでたらきっとキャバクラとか喜んで行ってみただろう、くらいしか意識してなかった。

動物のオスはだいたいどれも派手な羽をもったり、大きくて強かったり、メスに対するアピールを強く持っていて、強い方がメスを手に入れる。メスが強いオスを好むのは、強い子孫を残すためだという。人間のメスも同じように、いい大学を出て大きな企業に勤めて、たくさんお金を稼いで・・・という人間社会で生き残れるファクターをたくさん持ったオスを好む。それでいいじゃないか、人間がほかの動物より高尚だという理由も、そうあるべきだという理由もない。林真理子、すがすがしいじゃないか。寂聴さんだって愛欲は抑えるもんじゃないと言っている。

でも登場する中年女性たちは、誰も「今が何より幸せ!」と夢中になってるだけじゃない。空しさや不満や先行きの不安もいっぱい抱えてる。そのへんの描写力が林真理子の強いところなんだろうな。私自身はなんでも大きい枠や長い時間でものを考えがちなところがあるので、暗い未来が見えるようなことってなかなかできないんだよな。

美しく自分を磨いて着飾った女は美しい。といつも思います。装う心ってのはいとおしい。

未来も過去も思い悩まず、今日のために生きよとブッダも言ってます。私ってスノッブなのかな~。