リチャード・E・ニスベット「木を見る西洋人、森を見る東洋人」108

先生のご推薦で購入し、アメリカ出張のフライトの中で読みました。

帯には「東洋人と西洋人のものの見方・考え方が文化によっていかに違うのか、なぜ違うのかを科学的に解明した第一級の書!」とあります。

感想としては、前半はわりと冗長なところが多く、私でも知ってる類型的なEast vs West論がさまざまな切り口から展開されていきます。East Asiaといっても、中国人と韓国人と日本人の気質や考え方は同じではないことを、私たちはよーく知ってるけど、その区別はされないまま話が進んでいくし。

でも、だんだん「アメリカ長期滞在経験のある日本人と日本長期滞在経験のあるアメリカ人は滞在国の影響を確実に受けている」とか、「どの国も女性は比較的周囲を気にする」とか、新しい発見も出てきます。そして最後は、「お互いの長所から学ぶことによって、欠点を補うことができる」という前向きな結論で終わるので、なんとなくよかったなぁという読後感。

でもさ、考え方を形作る要因として宗教は取り上げられてるけど、ほかにいくらでも考えられるので、片手落ちな気もする。人種でいうと、エスキモーとモンゴル人と日本人はそっくりだし、北欧の人って色素が薄いけど顔は西ヨーロッパの人たちより私たちに似てる。インド人やアラブ人は色黒だけど顔立ちの彫りの深さは西ヨーロッパの人たちに似てる。人種とそういうものの見方は一致するのかしないのか。

Native Americanはみんな血液型がO型で、中国人はO型が一番多く、日本人はA型が一番多い。そういうのは関係ないのか。

香港の人はイギリスの影響をかなり受けてるというけど、ハーフの人たちはどうなんだろう。・・・とかね。

しかし百聞は一見にしかずで、出張でヨーロッパのいろいろな国の人たちと一緒にすごして、アメリカとヨーロッパの人をまとめて西洋人って呼ぶことにかなり無理があるなぁと実感しました。あ、それってこの本そのものを否定してますか?