岩淵明男「驚異のパーソナル・オーダーメイド ビジネス」141

カスタムメイドということに興味があって、関連する書籍をたくさん買って徐々に読んでます。およそアカデミックな本というのが見つからなくて、これも流行本みたいなもんなんだけど、一通り。

家に猫が来たんで最近じっくり本を読む時間を作るのが難しくて。

この本は、「え、こんなのもオーダーメイドできるんだ」というのを集めた本なのですが、ただ集めただけではなく、”大衆はバブルとバブル崩壊を経て、大量生産された製品に飽き足りず、「個衆」となって「ハートウェア社会」を形作っている”という著者の主張が展開されます。その辺はあまり興味がないのでカタログとして読みました。書かれたのが1995年なので時代がもはや違う・・・けど、この分野はまだブームに至ってないからか、あまり状況が変わったという印象はありません。

取り上げられているのは、1枚だけのプリント生地を作れるシステム、自分に合ったフレームをオーダーできる自転車、完全オーダーメイドまたはイージーオーダーできる靴、など。

本が書かれた1995年と比べて盛りあがってる会社は、たとえばセーレンという、どんな色でもデザインでもプリントした布を作れる会社。http://www.seiren.com/この会社のこと私は知らなかったんだけど、カネボウの紡績部分を引き受けた会社だそうです。今やそれだけの力をつけてるのですね。13年の間に、3D CADのシステムにかかるコストはたぶん劇的に減少して、ソフトもだいぶ進化しただろうから、店頭で採寸→工場で生産、ってのもそろそろ質的にもコスト的にも商業ベースでいけるように・・・ならないかなぁ。(基本的に私はこういうの応援してるんで)

靴の完全オーダーメイドをしてる菊地武男http://www.dinus.co.jp/は、洋服のデザイナーのTakeo Kikuchi菊池武夫とは別人。今はカスタムではない「プレタポルテ」靴もさまざまな種類を売ってるようですね。カスタムの経験を活かせば、いい靴が作れそうです。カスタムがいくら良くても30万円では誰でもオーダーできるわけじゃないから・・・(今はもっと安いオプションもあるみたい)。

ナショナル自転車=今はパナソニックの自転車事業部、のフレームオーダーも、今も継続してますね。

http://cycle.panasonic.jp/products/pos/index.html 下手すると自動車が買えそうな価格。自分に合ったスポーツ車の需要はまだまだあるんじゃないかなーと思います。

思うに、体に身に付けるものを作るために3Dレーザー計測をしただけでは、サイズしかわからないから、筋肉の流れやどこに力がかかるか、力を入れるとどこが膨らむか、足首周りは朝と夜とでどれくらい違うか、といったことはわからない。でも元になるデータが手に入ってから実際に身につけてみたりして、経験を蓄積していくことで、他の重要ポイントがわかってくるはず。短絡になんでも自動化できるわけではないけど、じっくり時間をかけて取り組んでいけば、徐々に蓄積していって実用レベルのシステムができるはず。というわけで、なんかのヒントにはなったかも、この本。