村田喜代子「人が見たら蛙に化れ」172

ミスドで読んでたらコーヒーをこぼしてしまった!せっかく古本じゃなく新品で買ったのに、、、

さて内容について。

私のいちばん好きな作家の比較的新しい作品です。ひじょーに達者かつクレバーで、しかもコンシューマ的に自分の作品に対して厳しいrequirementを持ち続けていて、何十年書き続けても「おっもしろ~~い!」と思える作品を輩出しています。

今回のテーマは骨董屋。しかしビューティフルなものを売るのでなく、ガラクタぎりぎりの民具を廃屋から盗んでくる「ハタ屋」、打ち捨てられて土に埋もれた昔の窯を掘り返す「盗掘屋」(犯罪です)、欠けた陶磁器を修復する金継師、そういう壊れたものばかり欲しがる客、そういう骨董屋と暮らす訳ありげな女たち・・・といった怪しい人ばかりが出てきます。

一箱いくらで売っている雑多なガラクタの中に、ホンモノが混じっていることがある。買い手はそれに気づいても知らぬ顔でタダ同然の値段で引き取る。・・・タイトルの「人が見たら蛙に化れ」というのは、いいものだと気づかれないように、骨董屋がモノに対してかける言葉です。

目つきも顔色も悪そうなステテコ姿の田舎のおっさんばっかり出てきて、読み進む意欲がそがれる部分もありますが、相変わらず面白い。小説で「面白い」というのは私の場合、表現力も大事だけどそれだけじゃなくて、先が読めない、結末に広がりがある、ということかな。想像力をかきたてられる、目の前に情景が浮かぶ。

小説の中で売り買いされる「朝鮮民画」というものについて検索してみたら:

http://www.koryomuseum.or.jp/2008/04/202008412525.html

うわ、下手くそ!てか高麗美術館なんてものが京都にあるのか。

http://www.nikkannet.jp/dentoubi-5.html 

カラフルだともっとすごいなぁ。

最近、日経新聞で「勝手にアーティスト」と題して精神病院に入院中の患者の作品などを紹介してたのをみたとき、どれもすごいパワーを発していてあてられたのですが、何か美術教育ってパワーを育てるのにはあまり役立たない・・・(パワーをそぐ、とまでは言わないけど)という気がする今日このごろです。

・・・以上。