解説には「中年夫婦がかつての愛を取戻し・・・・・著者の最高傑作」と書いてあるので、まさかあのシニカルな著者が正統派感動的恋愛小説を書くことにしたのか?と思ったら、やっぱり違ってた。しかしエンディングは決してシニカルではありません。愛とスープは必ず冷めるが、それでいいのだ。またいつか会える。
登場人物には共感しないし、むかむかする場面も多いけど、それは小説だからいいのだ。
いやな部分があるとすれば、いままでカタカナで書いてたのに「SEX」ってアルファベット表記で通してるところが、なんか嫌。愛をLOVEって書く日本人作家は見たことないし、外来語でも日本語として通ってる場合CHOCOLATEなんて書かず(ましてや大文字で)カタカナで書くでしょう。なぜ今回そうしたんだろう。
いまの自分の年齢を超えて、先に著者と登場人物たちが老成してしまったなぁという印象もありました(若干ネガティブ)。これはまったく自分の精神的肉体的な個別性に起因する感覚なので誰の参考にもならないけど。
ふうん・・・こうなってきたのか。佐藤正午って作家は。
そろそろエッセイ大人買いしてみよう。以上。