高樹のぶ子「透光の樹」193

なんとなく引き続き女性作家もの。官能ものとか言うと怒られるのかな。

共通点は裏表紙のあらすじに「肉」という一語が官能を表すものとして用いられている点。そこが嫌いだ!(嫌いなのは作家じゃなくて編集者かも)

いや、もともとこの作家は好きなほうでした。芥川賞受賞作の「光抱く友よ」は、筋は忘れたけど、好感をもって読んだのを覚えてる。今回読んだ本も、イヤらしい感じではなかった。

女性心理を描くという点では小池真理子のほうがずっと微細だ。高樹のぶ子はもっとそれを外側から、鳥瞰的に描こうと、すごく努力してる感じがする。

すっかり印象が悪くなってしまったのは、ずっと日経の朝刊に連載してた「甘苦上海」のせいだ。毎朝ではないんだろうけど、朝っぱらから官能だの肉だの情愛だの、なんで経済新聞の朝刊にあのような小説を載せるのか、理解できない・・・。新聞社の名を冠した週刊誌を買ったらヌードグラビアが載ってた、というくらい不適切な気がする。ああいう、こういう、小説は株価と一緒に読むもんじゃないだろ?

さて、そろそろもっと硬いものでも読むか・・・。