田原茂行「視聴者が動いた 巨大NHKがなくなる」198

真っ当なノンフィクションでした。やけにセンセーショナルなタイトルは「看板に偽りあり」といっても過言でないくらい、長期間にわたる広範な取材で、細部まで事実確認をして書かれた本です。しかも最後に、視聴者から提案したいNHK改革案の著者なりのアイデアを展開して締めくくっていて、"オトコラシイ"。

著者はTBS(前身のラジオ東京から)を勤め上げ、その後も「放送批評懇談会ギャラクシー賞選奨委員」を長く務めた人で、行間からジャーナリスト魂がただよってきてます。

巨大な組織の根深い問題を根本的に解決するのは難しい。状況把握も簡単じゃないし、個別の問題どうしを関連付けるのも難しいし、リーズナブルな解決策を提示して、かつ合意にもっていくのは、それぞれ全部難しい。だから、一般の人たちに広く情報を伝えることは最初の一歩。なにを事実として信じるか、という取捨選択は個人ですることで、その判断力が学校教育で身に着けさせなければいけないことなんだと思います。(本来はね。これも難しいけど)

自分自身、この著者を通じて見聞きしたことが、大きな問題のうちどれほど重要な部分なのかわからないけど、多少なりとも状況把握に役立ったのは確かだと思います。

いろんな本をもっと読み進めてみようと思います・・・この世界は、なかなか興味深い。

以上。