書店の店頭でなんとなく買った。
Amazonのレビューは星1つから星4つまでキレイに分かれてます。しかし最もよく「一般的な読む価値」を表してるのは古本の値段であって、文庫本がもう2刷なのに1円から売られているところをみると、この本は一般的に、軽い気持ちで読みたいけど保存するほどの思い入れはない、という評価なのかもです。
それにしてもミステリーの判断基準ってバラバラだよね。要はエンターテイメントだから「面白きゃいい」と思うんだけど、深く狭い道を突進しちゃって、トリックが新しいかどうか、現実的にありうるかどうか、という点だけに執着する人もいる。読者としてそういう狭い道を行っちゃってる人(xx大ミステリ研、みたいな)が作家になったりすると、つじつまを合わせることだけが至上命令のようになってしまって、読み始めるとすぐにトリックと犯人が透けて見えてしまうこともあります。
ミステリーを暇つぶしに読む私としては、この本くらいでもいいんじゃないかと思うが・・・。
確かに、建物の構造図なんてあってもなくても関係ないくらい、この本に謎解きの要素は少ないけど、3つのチームや大企業が入り乱れて進む構成は楽しめたし、人物描写も十分生きてると思いました。このくらいのミステリーでいちいち人が何人も死んだり、必要もないのに死体切断とか加工とかのエグい場面が頻出すると、いつも悪趣味だなーと思ってたので、誰も死なないこの小説はリーズナブルで好感が持てました。・・・という感想を持つのは女性が多いのでしょうか。作者も実は女性なんですね。
名探偵コナンや土曜ワイド劇場よりは面白かったです。ツジツマと謎解きに完全さを求める人は、ぜひ純文学の棚にある佐藤正午を読んでほしい。
以上。