「齋藤孝のざっくり!日本史」228

日本史が苦手だった人や、日本史は暗記科目だと思っている人に向けて、歴史のなかで現代人が特に見直したい重要ポイントを数点選んで、じっくり解説する本です。

そのポイントとは。

・「廃藩置県」と明治維新

・「万葉仮名」と日本語

・「大化の改新」と藤原氏

・「仏教伝来」と日本人の精神

・「三世一身の法」とバブル崩壊

・「鎖国」とクールジャパン

・「殖産興業」と日本的資本主義

・「占領」と戦後日本

面白かったです。予想よりは「文化論」っぽい印象でした。日本の興味深い史実から、日本人像を浮かび上がらせる本なので、これを読んでも日本の過去から現在に至る時間の流れ=日本史全体が見えてくるわけではないです。でも、歴史なんて大嫌い!と思ってる小中学生に学校の先生や親が話して聞かせると、興味を持ってもらえそうです。

文庫本で出ているので、通勤途中に読むのにも良いと思います。

以下興味深い指摘。

p83

「日本語の上達には英文和訳が効く」

ただし美麗表現とか情景描写力とかのことを言ってるのではありません。これによって身に着くのは、論理的な日本語、複雑な日本語を書く能力。

英文を日本語に置き換えるときに必要となる構造化が、その元になると書いてます。

その良い例が昔だと森鴎外、今だと村上春樹

p195

クールジャパンを追求するなら、内にこもってとことんオタクの道を究めるべし。

外国に高く評価されている日本の独自文化は、鎖国をしている江戸時代に生まれたものである。現在評価されているのも、オタク文化から生まれたマンガ、アニメ、フィギュアと言ったものが多い。したがって世界に通用する日本文化を究めたければ、世界のことなど忘れて徹底的に内向して自分だけのための創作を続けるべし。

以上。