金津佳子/宮永博史「全員が一流をめざす経営」233

川越胃腸病院の経営について1冊みっちり書かれた本。

綿密な取材や大学院のゼミでの研鑽のおかげで、この病院の強みの本質にかなり近づけたのではないかと思います。その真摯な姿勢と努力に敬意を表します。

ただ、この本にこれほどのページ数は本当に必要だったのかな?内容がこれだけいいのに、編集が散漫な印象を強く受けます。どうも、読み進むうちに、「あれ?これさっきも書いてあった」とか、逆に「あ、これがキーワードなんだな。もっと詳しく解説すればいいのに・・・」と感じることが多々あります。宮永氏の「セレンディピティ」とか「理系の経営学」のように、コンパクトにまとまった本とつい比べてしまいます。個人的には、同じ題材、同じ著者たちで、ページ数を半分にした新書本を出し直してほしい・・・。

ところで

「患者『様』」という言葉がこの本の中で、というかこの病院内ではよく使われています。

NHK「みんなでニホンGo!」http://www.nhk.or.jp/nihongo/の2010年4月29日放送で、この「患者様」をどう感じるかというアンケートをとったところ、Go36% No64%でした。病院側のお気持ちは大変ありがたいし立派だけど、患者自身にはびみょうに違和感もある・・・ということかもしれません。あるいは、コトバだけ様付けで理念のない病院があるのがNoが多い原因かも。

以上。