佐藤正午「豚を盗む」235

うん。楽しく軽く読めた。

エッセイを読むと、人となりがわかりますね。この人根がまじめだけど、一日中家の中の同じ机について1平方メートル内で暮らしてるかんじの、アソビの少ない人なんじゃないかなと、改めて感じます。

この3冊目のエッセイ集(短編小説も含まれてますが)の「豚を盗む」というタイトルは・・・著者が周囲の人たちの出来事をそういった文章で使うことを「また豚を盗んだでしょ!」というらしい。「豚を盗んで骨を施す」ということわざによるものだそうです。

冒頭にサイモンとガーファンクルの「スカボロー・フェアー」の話があります。

2行目の歌詞にパセリとセージとローズマリーとタイムという4つのハーブが出てくるのはどういう意味だ?という話。スカボロという町に立つ市ではハーブも売られている。単に語呂のいいハーブを並べたとか、それぞれにいわれがあるんだとか、いろんな意見がでてきます。わたしはこの章を読みながら違うことを思いつきました。スカボローの市で売られるときに、あの辺に住む昔の恋人がきみを買いに来るかもしれない。彼女に会ったら、よろしくと伝えてくれ、パセリさん、セージさん。とこの人は、市で売られるハーブたちに話しかけているのではないでしょうか?

どこの図書館に行っても「正午派」は置いてないのでまだ読めてませんが、多分わたしは不熱心だけどファンなので、買ってもいいかな・・・。