「失敗学」ってのは「サクセスストーリー」の対極にあるもので、畑村先生によると失敗を客観的に記録したり分析したりするのではなく、失敗を引き起こした人自身の目線で、どうしてそういう判断をしてしまったのか、ということをつきつめる学問らしいです。
一度読んでみようとずっと思っていてやっと読みました。震災のずっと前から三陸海岸を歩きまわって、昔の人が建てた「ここより下に家を建てるべからず」という石碑の下に家が建っていることをこの本で取り上げていたことが知られていて、いまは福島原発の事故調査委員会の委員長を務めています。
正直、期待してたのですが、この本はちょっぴり肩すかしな感じでした。わりと「今の日本はだめだ、外国に学ぼう」という論調が目立ちます。よい失敗データベースを適切に作れば失敗が減らせると書いていたり。失敗する人の側からの分析をするなら心理学とか人間工学の研究も必要な気がするけど、具体的な分析についてはあまり触れられていません。これは最初に導入編として書かれた本で、その後もっと詳細な分析が行われたのかもしれません。この本では「失敗学」というものを宣言し、実際に失敗を減らす方法や減らせたというケース報告は別途…だったのでしょうか。実績を出すのはとても難しいと思うので、私も参考にしながら気をつけます。。。以上。