ロマン・ポランスキー監督「ローズマリーの赤ちゃん」307

1968年作品。

この映画は、最初に就職した会社を辞めて家でウツウツとしてた時期に、WOWOWをつけるといつもやってて、ノイローゼになりそうなくらい見たという漠然とした記憶があって、世にも奇妙で恐ろしい映画だときつく刷り込まれてしまっている、そんな存在でした。しかし、ロードショーで最新作「ゴーストライター」を見て、やっぱりこの”呪われた”名作を見直してみようと決意しました。

感想:いやー、本当によくできた映画です。面白かった!

ミア・ファローが、素晴らしく犠牲者というか”生けにえ”になりきっています。

「お隣の夫婦」が、もっと見るからに奇妙な人かと思ってたらやけに明るくてパワフルなのがすごく意外でした。ミア・ファローも、思っていたよりずっと可憐でかわいらしい。後の映画のイメージで、もう少し成熟した大人の役だった気がしてたけど、こんなに初々しいなら、この役にはぴったり…ということは世界的に認められていて、私がいま気づいただけですが。

キリスト教圏の人が、悪魔にとらわれた人たちを題材として映画を撮るのには勇気が要るんじゃないだろうか?ポランスキー監督はホロコーストを身近に知っているから人間って疑わしいという感覚が身についていて、こんな映画が撮れたのかしら…とか思いながら、DVDのおまけのインタビューを見たら、ポランスキー監督はプロデューサーのロバート・エヴァンズに「大好きなスキーの映画を撮らせるから来い」と騙されてこの映画を撮らされた…らしいです。

インタビューで、「主人公はもっと典型的な健康なアメリカ人男女をイメージしていたが、プロデューサーの意向で違うタイプの二人を選んだ」という話が出ています。チャイナタウンのジャック・ニコルソンフェイ・ダナウェイゴーストライターユアン・マグレガーも、健康的なイメージ強いし、ポランスキー監督は決してゴシック趣味とか悪趣味とかホラー好きではなくて、一流のサスペンス映画を撮る監督なんだなと、改めて思いました。。

(そもそも、ポランスキー自身、見るからに普通に健康的な感じの人だもんね・・・。)

私が映画をたくさん見ている最終的な目的は、ディレクターじゃなくてプロデューサーについて学ぶこと・・・と考えると、このプロデューサーを追っかけることも必要な気がします。この映画のプロデューサーはクレジットではウィリアム・キャッスルとなっていますが、インタビューに答えているロバート・エヴァンズが真の黒幕っぽい。この人、チャイナタウンとかゴッドファーザーとか、有名な作品をたくさんプロデュースしてますね。彼に関する本とDVDが出てるようなので、さっそく見てみなければ。

今日の一言:後味悪い映画を撮らせたら天下一、のはずだったのに、最後のミア・ファローの聖母の微笑みでなぜか癒されてしまった!まったく予想と正反対で戸惑っているきょうの私です。 

以上。