かつてマイクが世話になった牧師が人探しを依頼してくる。ある人間的な感情をもてない少年の行く末を案じてのことだった。彼は殺し屋になっていた。殺そうとする相手とロシアンルーレットをやって、まだ負けたことがない。スピード写真のブースで、人を殺すたびに神様に「僕はまだ許されてますか」と話しかける。・・・という男のストーリー。
絵よりストーリー重視で作られている作品だと思いましたが、描きたかったのは起承転結のある物語ではなく、上記の設定なのかな、という印象です。浅野忠信が演じる、スピード写真のブースを懺悔室の代わりにして神様に話しかける、若くて美しくて心を失った殺人者。それだけで1本作っちゃった、という。十分に魅力的な設定ではあります。でも、薄いというより、掘り下げる気がそもそもないのかな、とも感じます。見ている人に対して背景や詳細を提示しないだけではなくて、設定そのものがひとつの人格として生きるところまで作りこまれてない、役者さんたちもそこまで深く理解しないまま演じている、という感じもあります。人間を描いた「ドラマ」というより、イメージビデオのつもりで見ればいいのかな。。。
私としては、中村達也が赤いシャツでバーカウンターにいる姿にびりびり来ました。
・・・あ、わかった。この作品を作った人は、浅野演じる殺人者に遠くから恋をしてる人だ。深く知らない、知りたくもないけど、素敵すぎてずっと見ていたい・・・という。小説じゃなくて肖像画なんだな。だから「イメージビデオ」で当たり。方法論自体にはいいも悪いもないと思うし、このシリーズはいろんな実験があって本当におもしろい、学べる、と改めて思います。 ・・・以上!