鹿島田真希「冥土めぐり」281冊目

芥川賞受賞ってことで・・・(以下略)

直木賞受賞の辻村深月を読んだときも思ったけど、読後感がしっとりとしていて、むかしの「フォークミュージック」みたいに人肌のぬくもりが残ります。描いている人々の心のなかはみんなどろどろで、疑ったり思い込んだり、執着したり、でもその自分との確執に最後は勝ち始める、人の姿を描いています。

それにしてもこっちは読みづらい。芥川賞直木賞を分けるものは、読みやすいかどうかなのか?「自」意識の流れ、主人公の内面世界だけが息苦しいくらい狭い世界にぎゅうぎゅうと詰まって流れてくような文体です。メスの匂いがむんむんとしてる。

主人公の目はアイドルの一挙一投足、触ったものやゴミまでも愛するようなマニア的な愛、または、その逆の嫌悪に満ちています。

ヤだなぁと思いつつも、さらさら読めてしまうのは、自分にも(たぶん、たいがいの人たちにも)同じ部分があるからかなぁ。

両方ともよくできた、きちんと推敲された作品だと思うけど、また読もうと思わないのは、私が作家と同性だからかしら。

それにしても、ときどきは文学作品を読まなきゃね。知識を得るための本とは、使う脳の部分が違います。さて、また違うジャンルの本いきます~。以上。