春日武彦「自己愛な人たち」284冊目

自分大好きそうな人とちょっとばかり、トラぶってるので参考のため読んでみました。

でもこの本は個人的にはあまりお勧めしません。面白いかもしれないけど、私は役に立つ本が欲しかったので。

精神科医が書いた本ですが、考えが偏っているような印象があります。人の資質にそれぞれ違いがあることが念頭に置かれていないような。体質、感覚、その他、いろいろな違いを考慮してその人に合った治療をしなければ病気は治らないと思うけど、精神科のような質・量ともに症状を特定しにくい領域だと、若干画一的な考え方になりがちなのかなしら。

それと、たとえば自分の子ども時代について書くときに「父は最年少のxxx長であった」という、コンテクスト上不要な自慢がひそんでいたり、「自己愛人間ウォッチの醍醐味」について書いて、自分が患者を見ることにイジワルな楽しみを感じていることを表明していたり。

ワイドショーを見るのが好きな人向けの本かも。あるいは著者はサービス精神で、ワイドショー的な文章を書いたのかもしれません。私は心理分析とか精神科治療の話を読んで、自己愛くんへの対処方法(特にうまいかわし方)を知りたいと思ってこの本を買ったので、ほとんど目的を達成できませんでした。以上です。