魯迅「阿Q正伝」345冊目

なぜ今魯迅?…とくに理由はないんだけど。
借りてきた文庫本には、表題の「阿Q正伝」、「狂人日記」などの短編がたくさん収録されています。
改めて読んでみて…この2作の主人公が、あまりにもダメダメでちょっと驚いた。
ニューシネマか何かか?
阿Qは貧乏で字が書けず、独り者だけど割合ひとなつこい男。プライドばかり高くてちっとも働かないし、そもそもちっともいい奴じゃないので、みんなに疎まれるようになり、あとは野たれ死ぬだけ。。。
狂人日記」の狂人も、どこか愛嬌があるけど妄想がどんどん大きくなっていって、こっちも野たれ死ぬだけだ。

 

偉大な作家が書いた、学生の読書感想文の課題がこれなんだ。
なんとなく、こんな生き方だってアリだよ!と校長先生にでも言われてるようで落ち着かない。
まさか「こうなっちゃダメだよ」という意図ではあるまい。少なくとも、そういう印象はまったく受けなかった。不思議な本だ。

 

だけど阿Qと比べて、自分のほうが高尚って気もしないな。澄ました顔で、心の中ではひとをうらやんだり妬んだりしてるし。まじめな大学も出て定職についてても、そうではない人と何か違うわけじゃない・・・。

 

呑んだくれのトリックスターと市井のひとびと。暖かいとまでは言えないけど、パワフルに日々を過ごす人たちのパワーも生き生きと感じられる短編集ではありました。