三島由紀夫「命売ります」362冊目

紀伊國屋書店新宿本店に立ち寄ったら、なんかすごく一押ししてたので読んでみました。
確かに面白かった。いまどきのエンタメ小説(伊坂幸太郎ものとか、「悪夢のエレベーター」とか)のような軽快なトーン、先が読めない展開とどこか厭世的な主人公で、1968年、50年近く前に書かれた名作って感じがありません。その辺が帯に「隠れた怪作小説発見!」と書かせて、紀伊國屋に一押しさせるゆえんでしょう。読ませる文章力がやけに力強いのと、主人公が自信家でマッチョなのが、よくよく見ると三島由紀夫的なのかもしれなません。

 

それにしても、三島といえば「金閣寺」とか「仮面の告白」くらいしか読んだことがなくて、むしろ市ヶ谷事件の人というイメージが圧倒的だったので、過激な天才だと思っていたので、こんな大衆エンタメ小説をプレイボーイに連載していたという事実がすごく新鮮なのでした。

 

とても面白かったので、改めて他の作品も読んでみたくなりました。本の帯には「読み終わったら次は『三島由紀夫レター教室』」とおせっかいな推薦文があるので、おせっかいだけど読んでみるかな・・・。