ジャニス・P・ニムラ「少女たちの明治維新 ふたつの文化を生きた30年」396冊目

面白かった!
津田梅子や山川捨松のことを書いた本は何冊か読んだけど、どれも偉人伝ばかりで、この本は彼女たちの肉声をたっぷり拾い上げていて、ここにきて初めて彼女たちに出会ったような気持ちです。
生まれ育ちから渡航、お人形のようにどこに行っても注目され、可愛がられる少女時代、帰国後の手のひらを返したような孤立、充実の中年期から晩年。この二人に永井繁を加えた3人の一生を思って、涙がでました。

どうやってこんなに調べられたんだろうという驚きでいっぱいなのですが、アメリカ的なドキュメンタリー手法なのかもしれません。徹底的に調べて詳細までがっつり書き綴る。日本ではあえて書かないような、当時のアメリカ人になりかわったかのような身分トークや「私が一番!」という少女らしい自慢も書いてあって、ひたすら高潔なだけの梅子のイメージを持っていると、最初は「ええっ」と引いてしまうのですが、最後には、ああやっぱりこの人も、私たちと同じような人間だったんだ、と感動します。

すごくすごく良い本です。このまんま連続テレビ小説にして、魅力的な若い女優さんたちに演じてほしい。そしたら彼女たちのことを、みんな本当に好きになると思います。