西加奈子「サラバ!」401冊目

苦節1年くらいかな。
なにも苦しまずに待ってただけですが、図書館で予約して、待ち人数200人とか80人とかを乗り越えて、先週やっと借りられました。

西加奈子ってそんなに好きだと思ってなかったけど、この小説は熱かった。
テレビに出てるときは、わりと甘えたような関西弁だなーと思ったけど、本当はとってもクレバーな人だった。
多分すごく自分自身の体験が描かれてるんだろうけど、それは普遍化されてる。
引っ越した先が、あなたはエジプト、私は隣町、出会った本当の友達が、あなたの場合コプト教徒、私の場合バレエを習ってる女の子、のような違いは本質的なものではない、と思う。

最初は変わった人たちだと思いながら読み進めて、途中からこれは自分の話だと思いはじめる人が、多分たくさんいると思う。自分が信じる何かを見つけるのは、10歳の人もいれば30歳の人もいるし、50過ぎてからやっと見つかる人もいるだろう。生きてるうちにちょっとでも近づければいい。あるいは、何かを探し始められれば、それだけで十分なのかも。

自分の今までのことを、つぶさに思いだそうとすると、どうしても苦しくなってしまう。でも、壁に当たったときにはいつも、昔住んでた場所に出かけて行ったもんだった。懐かしい人に会えれば会って、ありがとうとだけ伝えたりした。そう考えると、この小説は、自分の人生がいつか終わるということを踏まえて、きれいに片づけるために書き始める、読み始めるものなのかも。

この先ずっと、自分が何か見失ってるなと思うときに、この本のことを思い出すと思う。すごい影響力じゃない??