ある”業界人”の男が、彼を取り巻く麗しき女性たちに様々な料理を自ら振る舞い、その度に「デザートは、あ・な・た」(実際は恋人以外は食べないんだけど)、っていうバブリーな短編集。
バブルというより、高度成長期の香りさえする1991年発行作品。まだ弾けそうな気配もありません。
その男、俊介と、美人だけど”牛乳瓶の底メガネ”の菜々子のとてもセクシーな関係。俊介を囲む多くの「いい女友達」。菜々子の恋愛と、それから自立し続けるための別れ。
失恋しがちで、男の後を追ってしまったりする私としては、お手本のように思える眩しい世界でした。
キャビアとカラスミのスパゲティなど家で作る広告代理店の男、ですから。
この作者、森瑤子は、バブルを駆け抜けて1993年に53歳で亡くなっています。こんなに華やかで、どこか品良く、美しき世界を繰り広げた彼女はとても素敵な女性だったんだろうなと思います。