「驚きの介護民俗学」を書いたときは、民俗学者から大きな老人介護施設に転職して、迷ったり戸惑ったりしながら「聞き書き」を進めていた著者。その後その施設を辞めて、民家を借りて行っている小規模な施設で働くようになり、依然として忙しい日々の中から、今度は「聞き書き」だけに限らず、食事やレクリエーション活動といった日々の生活の中で、介護する者とされる者との関係やつながりを探求していきます。
面白かったです。人として大切なことを大切にしていくことを思い出させてくれます。
お題目として「在宅介護をますます支援していく」ということを掲げた政策が推進されていると聞いたことがありますが、家庭的で被介護者たちが安心できる介護っていうのは、在宅かどうかじゃなくて、安心できる環境を作ってあげられるかどうかってことだよな、とわかります。
これってカンヌ映画祭で最近パルムドールを取った「万引き家族」で言ってることとも通じてる。家族は血のつながりだけじゃない、というか、遺伝子の一致度合いとは別に関係ないものだ。実の子供を虐待する人たちの存在がこれだけ知られているのに、何が何でも遺伝子上の家族だけを家族としてまとめることにこだわり続けてもダメなのだ。
でも他人と知り合って家族になるまでって、簡単じゃないよね。家族とうまくやれずに諦めかかってる私たちに何ができるか、何が得られるか・・・。簡単に答えが見つかることのない積み重ね何だろうと思います。