町山智浩「最も危険なアメリカ映画」546冊目

こんどの本は、アメリカ映画の大メジャー作品にしのばせた政治的、ときに人種差別的な意図について大胆に切り込んでいます。

国民の創生」がKKK礼賛映画ということは、私も見たときに気づいて愕然としましたが、かの大人気作品「バック・トゥ・ザ・フューチャー」や「フォレスト・ガンプ」の偏りには気づきませんでした。日本のどの映画を見たって、人間の作ったものであるかぎり、どっちかには偏ってるので、歴史や政治に疎い海外の作品にも当然そういう偏りがあるのは当然といえば当然ですが、改めて指摘されると驚きますね。ディズニーの「空軍力による勝利」や「南部の唄」とか、表舞台に出ることはないでしょうね、日本では。もしかしたら逆もあるかもしれないけど。

この本で紹介されている作品は、今日本で入手するのが難しいものが多いのですが、かなり昔の映画が多いので、(映画の著作権存続期間は70年)日本語字幕なしでよければネット動画サイトで見られるものもあります。ちょこっと見てみたら、普通にエンタメ作品。怖いですね、観客って雰囲気だけに流されてしまうんだな。楽しそうな雰囲気で語られるといいことだと思ってしまう。映画の中の人たちが怒っていたら、相手は極悪人だと思ってしまう。この影響力の強大さを、作るほうも見るほうも認識しておきたいものだな、と思います。 

最も危険なアメリカ映画 (集英社文庫)

最も危険なアメリカ映画 (集英社文庫)