高野秀行「未来国家ブータン」590冊目

すごく面白かった。秘境好きの人はほぼ100%話が面白い…。それは自分と違うものを心底楽しめるからだよね。ブータンには10数年前、先代の国王の頃にツアーで行って、一生心に残る面白い目の覚めるような旅をしてきたのですが、自分で行くのに匹敵するほどの面白さでした。第一私はいわゆる観光地しか行ってない、ほとんどお酒を飲んでない、ラヤにも東部にも行ってない。(お坊さんばっかりが観客のブータンスタンダップコメディとかブータン唯一のディスコとか行ったけど)

そして、彼は秘境の面白さだけでなく、ブータンっていう国家のクレバーさにしっかり気づきました。確かに私がティンプーで出会った官僚候補の若者たちは、みんな優秀で気立ても良くて本当に有望だった。そして、国王を心から尊敬して敬愛してた。そういう「思い」のパワーは重大なのだ。

 あちこちに旅行していた去年までが、前世みたいに遠く感じられる今日このごろ。次に外国に行けたら、カジュアルに飛び回ってた頃と全然違う感慨がありそうだな。

未来国家ブータン (集英社文庫)

未来国家ブータン (集英社文庫)

  • 作者:高野 秀行
  • 発売日: 2016/06/23
  • メディア: 文庫