すごく面白い、ワクワクする本でした。(なんかストレートでない読み方をしてるな、私)こんな学術書みたいな体裁でなく、真っ黒い表紙におどろおどろしいフォントで「インターネットの闇との争いマニュアル」とか名付けて売れば、ネット書店でバカ売れしそうな(だから違うって)。
インターネットが一般市民に降りてきた黎明期には、怪しいサイトもたくさんありました。その怪しさは、私のイメージでは、欧米の大都市や大きな観光地に必ずあるパワーストーンや占星術グッズのお店みたいな感じ。今のネット上に多数ある悪いサイトは、あの手この手を使って、要は無関係な人たちからお金をせしめるために構築されています。幸せや愛を夢見て構築されていた非営利の怪しいサイトとはまるで違う、痛いほど現実的な世界。
面白いのは、どんな世界にも私利を極めようと違法な世界を突き進む一派がいる一方で、青筋立ててそれを追い続ける警察側の人たちもあきらめないってところ。いまどきこれほど善悪が明確な世界って少ないんじゃないかと思うくらい。そこにはセキュリティの穴を掘り、自らを偽ることに血道をあげる人たちと、安全で安定したネットを作ろうとしつづける専門家と、人間の善悪を切り分けるのが仕事という警察や検察がいる。一般の人たちはそのどれにもいろんな場面で関わっている。
人間は面白いし、強いのだ。