広尾克子「カニという道楽」614冊目

著者はカニを食べに毎年産地へ旅行するほどのカニ好きだけど、私もカニ好きでは負ける気しません。一緒にカニツーリズム行ってくれる友達がいないので、たまに食べるカニをすみずみまで味わってるだけで…。でも、「おわりに」の最後に著者が「カニも喜んでいることと思います」とあるのは多分まったく逆で、彼らは私や彼女のことを天敵とみなして恐れ嫌っているに違いありません(笑)。

この本は、「楽しい読み物」ではないんですよ。著者が西日本のカニ漁場やカニが名物の温泉町や市場を調査行脚したレポートと、そこから著者が推測した歴史などが書かれた本。なんというか、楽しく読むには事実の羅列が多く、論文として読むには系統だっていなくて数値分析もなく、「思ったこと」が多い。大学院のときに私が書いて教授陣にいつも怒られていた「これじゃ論文とはいえない」やつを思い出して胃が痛みました。

カニは語るものではなく食べるものだ。とりあえずアメ横に丸ごとゆでたズワイを一匹買いに行きたい。そんな懐具合ではないけど、年末年始になら食べてもいいよね…。

カニという道楽 ズワイガニと日本人の物語

カニという道楽 ズワイガニと日本人の物語

  • 作者:広尾 克子
  • 発売日: 2019/10/09
  • メディア: 単行本