鈴木克明・有紀「不器用なカレー食堂」616冊目

東京都世田谷区で「砂の岬」というインド料理レストランをやっている夫婦の、これまでの道のりをそれぞれの言葉で著した本。友人にこのレストランに誘われたので、行く前に読んでみました。

この本を書いたのは今から5年前、レストランはまだ新しく、それ以前の移動販売車やカレーに関わるようになる前のことも書かれています。その時点ではまだ夫婦二人だけでやっていたようですが、その後お子さんも生まれたようで、店には他にも何人か店員さんがいらっしゃいました。手作りのアジアおもちゃ箱のような可愛らしいものを並べた店内は、子供部屋のようでもありますが、私が食べた「10周年記念コース」の味は本格的。18品目+飲み物という大変な手のかかるお料理を、おそらく何日もかけて仕込み、直前に火を入れて美味しい状態で供してくれるその手際はプロフェッショナルです。

私は、お店の雰囲気は、良ければもちろんいいけど、まったく殺風景でもそれはそれで気にならないほう。なので、この本を読んでどっぷりとこの店に浸るのもいいけど、何も知らずに通りすがりにテイクアウトのカレーを買い続けるのもいい。結局、食べ物やさんの考えとか人生とかってお料理そのものにほぼ全部反映されるものだと思います。

今日食べたコースはこの店の粋を極めたようなコースだったけど、毎日ずっと出してる「いつものカレー」もまた食べに行ってみたいなと思いました。