萩尾望都「ポーの一族1~3」633~635冊目

「100分de萩尾望都」を見て図書館に予約を入れたんだけど、数十人の列ができていたのですぐに借りられるTSUTAYAで借りました。1冊110円。

大長編ではなく、数回の連載と何度も繰り返してるんですね。エドガーとメリーベルとポーツネル夫妻の”家族”、アランとの出会いとメリーベルの別れ…という骨子が一番最初のシリーズですべて語られています。それ以降のエピソードはいずれも、前日譚や後日譚。「ポーの一族」を最初のシリーズ「ポーの一族」だけとみると比較的短い作品だということもできて、舞台化するときにはその後に書かれた他のエピソードをどれくらい加えるかという判断になるのでしょう。

トーマの心臓」も強烈な神と生死と愛の物語だったけど、これもまた愛と生の意味を問う深淵な物語です。後になるにつれ、エドガーの冷酷さが際立つエピソードが増えていきますが、こういう本格的な”悪”が深く描ける萩尾望都を育てたのが若い頃に読んだ「恐るべき子供たち」とかのおかげだとしたら、ジャン・コクトーに感謝しなければです。

これ、子どもが読んだら驚き、思春期なら啓示を受け、大人が読んだら何かを思い出し、老人が読んだら答を得たような気持ちになるんじゃないかな。 

続編も読まなければ。 

 (1998年8月発行、2013年6月第33刷 3冊で1833円)