三島由紀夫「奔馬(豊饒の海2)」647冊目

すごいなぁ、すごすぎる。「豊饒の海」1もすごかったけど、こっちも大変な大名作だった(語彙まずしいなぁ私)。命がけの天才ってこれほどのものなのか。壮大な構想、四部作の少なくとも前半2作の設定の時代性と普遍性、緻密に設定された人物像たち、微に入り細に入った描写は精緻でありながら誌的で、全体を覆う怨念のようなエネルギーは目の前で火山が噴火してるんじゃないかと思うほど。

輪廻転生の物語には元ネタがあって、三島が現代訳を作った「浜松中納言物語」がそれだったとのこと。私が愛読している佐藤正午が「月の満ち欠け」の中で輪廻転生をとりあげたのは驚きだったけど、人は年を取ったり死を近く感じるようになると、生まれ変わりを思い始めるんだろうか。

「絶対読むべき世界のx大小説」とかに入れるべき作品なんじゃないかな、これは。(まだ半分しか読んでないけど)(といってもすでに1000ページ近い)

それにしても、実家の近くにあった「豊饒」と書いて「ぶにょう」と読む地名は、よほど昔から田畑で作物がよく実ったんだろうか。近くに「田中」っていう地名もあるから、豊かな農村地帯だったのかな…関係ないけど。