高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」671冊目

海外旅行いけないなら、高野秀行の本を読んでればいい。というか下手に海外旅行行くより面白くて充実してる。というかこんなところ一生行けない。

この本は、物騒な予感がするので後回しにしてたけど、思い切って読み始めたら、いつも通りの抱腹絶倒ぶりでした。

現地の人とすぐに昔馴染みみたいに仲良くなれるのがすごい、どころじゃなくて、今回はソマリ人の複雑な氏族の関係を恐ろしいほどよく理解して、戦国時代の日本になぞらえて図解までしてくれているのが、すごい。昔「電波少年」か何かで矢部太郎が小さい国の辺境の家にホームステイしながら言語を学ぶ番組で、彼の言語能力に驚いたけど、それに匹敵する言語能力をお持ちです。めちゃくちゃ地頭のいい人だなぁ。

人間と人間が作ってるのがこの世界だから、人間を知る力がある人は最高に強い。「ブータンソマリランドは、国際社会に認められるために良い国を作り続けてる」っていう動機を見抜いたのはすごい。ブータンには行ったことがあって、留学経験のあるエリートの若い子たちと遊びに出かけて話もしたけど、外交レベルでどういう意図が働いてるかなんてことまで、考えもしなかった。

旅に出る理由は、好奇心が抑えられなくて、「知りたい」気持ちが湧きだしてきたらもう止められないから。そうじゃない理由のときもあるけど。これほど人を知ってる人が日本の中心部に定住して、会社やら政治やらの上の方にいてくれたら、もう少し人を中心にした運営ができるんじゃないかと思うけど、そういうのには興味ないんだろうな~。

あまりに面白いので、もっとこの人の本読んでみよう。