村井章介「世界史のなかの戦国日本」679冊目

高野秀行の読書本で取り上げられてたのを読んでみました。歴史がまるでダメで、大河ドラマとか見ても全然理解できない私にはとても難しい本だったけど、面白かった。蝦夷地や琉球の支配、ヨーロッパからの武器の伝来、倭寇や秀吉の朝鮮出兵といった出来事を、生々しい当時の記録をかき集めてリアルに解説していて、人々の姿が浮かび上がってくるようです。

鹿児島県と沖縄県に属する島々に行ってみると、沖永良部までは居酒屋にオリオンビールがないけど、与論にはオリオンとアサヒの両方を置いてある店もある。元々の琉球王国の領土の範囲、日本に戻された時期の違いなど、なかなかセンシティブな問題があるので、あまり無邪気な気持ちで島々を訪ねるのは無神経なのかもしれない、などと考えるようになりました。この本を読んで何か明確にわかるというものでもなく、境界線は島の人々にとってはいつの時代も船で行き来できたわけなので、気にしすぎるのもおかしいのかもしれません。

それよりこの本を読んで個人的にショックだったのは、島津藩朝鮮出兵の際に明と朝鮮の軍や一般の人々の首を数えてそれに応じて兵たちに銀を与えたため、無為にその数が膨大になったという話…。(それが定説というわけではなく、著者の調査によるものです)私の祖先は島津家に仕えた侍と考えられていて、朝鮮出兵の際の武勇で秀吉様から名字をいただいた、という碑が村の外れに立っているのを見たことがある。誰とも争わず、差別せず、競争があれば100%譲ることを旨としてやってきた、わりとガマン強い自分だけど、それは祖先の犯した罪を原罪として魂のどこかに持っていて償いのために無意識にやってることなんだろうか。

まあ、家だとか血筋だとか遺伝だとか、そんなことを言い出すと、ナチスドイツが支配していたドイツの人々は子孫末裔まで悪人だと思わなきゃいけないような、むしろ道義上おかしなことになってしまうのだけど。

100%悪いことに携わらず清廉潔白なまま生物として代々生きてきた人もいないのかもしれない。これからの人生も、調子に乗らず、わきまえて心してやっていこうと思うのであります…。

世界史のなかの戦国日本 (ちくま学芸文庫)

世界史のなかの戦国日本 (ちくま学芸文庫)

  • 作者:村井 章介
  • 発売日: 2012/04/01
  • メディア: 文庫