村田喜代子「縦横無尽の文章レッスン」708冊目

この本のパート1ともいえる「名文を書かない文章講座」はだいぶ前に買って持っている。村田喜代子は文章の達人のなかでも、子どものように感じて大人のように考える、感性と技術の両方がすごい人だと私は思っているので、この人の文章講座は読む価値が高い!

山陰の私立大学では、直接講義が受けられるんだ。いいなぁ。移住して科目履修したい。その講義は、子どもの作文や、学生に書かせたもの、古今東西の名文や「迷文」をサンプルとして、論理的なつながりやユニークさを受講生たちに感じ取らせるという方法を取っているようです。この作家がこんなに”縦横無尽”に読書をしてきた人だとは、全然知らなかったし意外でした。感性のままに書いて、感性のままに推敲する人だと思ってた。そういう書き方をするプロの、才能のある作家って、実際にはいないのかな。

授業で取り上げた作品のなかで、ねずみがハトに憧れる話、すごく村田喜代子っぽいと思いました。この人の作品には、地方に住むとくに個性的でもない普通の人が、とんでもないイマジネーションを膨らませて、外の世界へ羽ばたいてしまう作品がいくつもあるから。

長年憧れてきた作家って、もし会ったり講義を聞いたりすることがあったらイメージと違ったりするのかな。怒られてがっかりしたりするのかな。こんな推敲ゼロの日記なんて見られたら死にたくなりそうだ。

やっぱり静かに、愛読するだけにしときます。