湯浅誠「つながり続けるこども食堂」751冊目

この人の本を読んでみようと思って探したときに、あまりにも多くてすごく迷ったけどまずこの本から。とてもわかりやすく興味深く、こども食堂の趣旨や現状を紹介してくれる良い本でした。

私も勘違いしてた。こういうの興味あるな、どんなところなのかな、と思いつつ、貧困状態にある子ども以外は行くと迷惑かな、行ってる子どもたちも、食堂の外から物見遊山で”まずしい子どもたち”として覗き込まれたらいやだろうな、とか思ってました。

「つながり」って、構築するのも維持するのも難しいけど、それって何?ということを説明するのも理解するのも定義するのも難しい、実態をつかみにくい言葉。でも誰かががんばって言葉にして、伝えないと、広がっていけない。著者の現状分析と言葉の表現力があって初めて、ここまでのムーブメントが起こせたのかもしれません。何か社会に必要なことを民間レベルで(ある意味ゲリラ的に)始めるのに、必要な才能を備えた人だなぁと感心しました。

かくいう私も、家族を持たずに中年になった身で、人からは「旅行ばっかりして趣味もたくさんあっていいね」とか言われるけど、それは何もすることがないから苦労して隙間を埋めてるだけだ。放っておくとすぐにウツウツとしてくる。私がボランティアに行くのは、誰かの役に立つためというより、自分の隙間を埋めるためだ。そういう人ってすごくたくさんいると思う。

いろんな団体のことを知るにつけ、どの団体も素晴らしいことをやっていると思うけど、それぞれに個性があるなと最近は思う。今すぐ生命を救わないと死んじゃう人たちを助けに行く「国境なき医師団」、親を亡くして就学資金を欠いてる子どもに向けた老舗の「あしなが育英会」、海外でストリートチルドレンを預かって育てている団体、日本に来たけど難民認定を受けられず苦境が続く人たちをサポートする団体…。

趣旨に賛同できれば寄付はいつでもできるけど、ボランティアに行くには、あまり無理せず、自分の体力や時間、性格に合ったところに行くほうがいい。著者が提唱する、ゆるくみんながその辺にいて、ちょっと気にかけあっている、というあり方は私には合っているように思います。

調べてみたら、最寄り駅だけでいくつも「こども食堂」が開催されてるようだ。いつか私もきっかけを見つけて覗いてみよう…。