ブレイディみかこ「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2」755冊目

すごく面白かったエッセイ集の続編。

面白い、というだけじゃなくて、居心地の悪さや切なさ、申し訳なさがオブラートにくるまれることなく、そのまま示される。本当のことが見たい・聞きたい、という欲求も、楽しみたいという欲求と並んで、誰にでもあるのだ。

同じ町をケン・ローチが描くと、痛みばかりが残ってしまうけど、ブレイディみかこが描くと、円の中で温め合っている家族が見える。その周りのもっと大きい円の中に、助け合うご近所がいるけど、それ以外の円は遠くて冷たくも見える。

みかこさんも配偶者の方も、楽に育ってきたわけじゃないというけど、愛のある場所で人間らしさを一番に生きてきたまっとうな良い大人、というふうに感じた。本を何冊か読んだだけの赤の他人の私が、何をいうのもおこがましいけど…。

それにしても、荒廃した図書館跡の建物、気になるな。20世紀的な落書きをしてたのが実際おっさんたちだったという衝撃の事実…。”底辺中学”は”元・底辺中学”になったのに、なんだか世の中はあまりいい方向に進んでいないような。日本社会はそれよりもっと、誰が勝ち残るかを気にする人ばかり、子供のふりをしてガラスを割ったり落書きをして回る大人ばっかりになってる気がする。Lead by exampleなんて、日本で言うと「きれいごと」としてそれだけでいじめられそうだもんな。

自分の身の回りのことも気にしつつ、みかこさんたちご家族と、彼らが住む町のことも、気になって仕方がないのでした。。。