武田砂鉄「偉い人ほどすぐ逃げる」795冊目

武田砂鉄は、テレビで話しているのを見て、そのきっぱりとした弁舌の一貫性が印象的で著書を読んでみたいと思いました。

この本でも立場は一貫しているし、主張にはぜんぶ納得できる。でも読んでてだんだん暗澹たる気持ちになってくるのは…この人のせいじゃなくて、あいまいでおかしいことばかりがはびこっていく、広がっていく事態が情けなく腹立たしく、だけど自分には何もできないという無力感が強くなるから。

自分は長いものに巻かれずに正しいことをやってきたと思ってるけど。違うと思うことは後悔しないように必ず指摘する。でも指摘したあと、多数決あるいは上司の判断で却下されたら指示に従ってきた。それが自分できる最大の主張だと思ってやってきたけど、もっと強く、もっと丁寧に、自分の思うことを貫いてみてもよかったのかもしれない。※結局、つとめあげないで会社員は辞めちゃったわけだし。※辞めちゃってもなんとか食べていけてるし。

「自分さえがまんすれば」で誰かほかの人が得をする。自分が辞めてしまえば残った誰かにひずみがいくだけ。声をあげることは少なくともけん制にはなる。仕事ばっかりやってたときには見えなかったものが、今なら見えるんだよなぁ…。もう組織の一員には戻れないな…。