淀川長治「淀川長治映画ベスト1000」807冊目

もう3000本以上見たのに、見れば見るほど見たくなる魔性の世界が映画だ。すごく読みたくてやっと入手して、やっぱり「見たい作品リスト」を100本メモってしまった。その間にも次々と、新しい映画が公開されていく。見終わることがないのはありがたいことだけど…。

それにしても、この方にかかると相当の割合の映画が「ホモセクシュアルに関する映画なんですね~」になるし、映画の中の男性ヌードポイントが正確に説明されているのが、なんとも…。女性のヌードに関してはよく解説に「(女優の名前)の体当たりの演技が見もの」とあるけど、何が体当たりだ、トラックに自分からぶつかっていくとでもいうのか、脱いでて嬉しいならそう書け、でも女優はヌードを見てもらうために映画に出てるんじゃないんだ、もうちょっとマシな見方ができんのか、と私はよく怒っています。それと同じことをこの方の男性ヌードの説明にも言いたくなりますね。映画評論の品を落とさないでくれ。(故人に対して大変失礼しました)

いやでも読みたくてこの本を読んだのです、私は。なんでかというと、サイレント時代~戦時中あたりまでの国内外の映画について、自分が映画館に見に行った感想を正確に書けるのは当時映画を見ていた人だけなので、小さい頃からすぐれた審美眼で膨大な数の映画を見たこの方の本でなければ、その頃の未見の作品のよしあし、どれを見るべきか、がわからないからです。戦前の作品などはもう(戦時加算はあるけど)かなりの数がパブリックドメインになっているはずなので、DVDやVODで見つからなくてもYouTubeなどで探して堂々と見られるものもあるはず。字幕さえあきらめれば。

という意味で、本当に貴重な本です。メモった100本、がんばって探して見てみますよ、私は。