筒井康隆「パプリカ」841冊目

今敏監督のアニメ映画「パプリカ」がすごく好きで、今さら原作を読んでいます。きっかけは、これと同時期に筒井康隆(および多数の読者たち)が執筆中だった「朝のガスパール」を読んだこと。

夢の中にダイブできる世界の作品は、映画やSF小説でもう見慣れてきてる。「インセプション」は2010年、「エターナル・サンシャイン」は2004年、パプリカは1993年だ。それより前のどこかに元ネタがあるんだろうけど、パプリカに影響を受けた人もいるだろうな。

さて、小説のほう、とても面白かったです。ただ、設定や場面の一部を取り入れてるけど夢の内容とか全然違うな。筒井康隆今敏も、枠を取っ払って自由にさせると歯止めが効かない、爆発的な想像力を持つ人々なので、この”リメイク”のような映画化は正解だと思う。自分以外の人が想像したものを、その人が満足するように作れたとしても、作った方は「いい仕事した」だけで、ほとばしるアドレナリンは出ないだろう。映画で描かれる夢の世界は今敏ワールドだ。祝祭的子ども部屋と平沢進の音楽の、めくるめく純真なオタクワールドだ。一方の小説の世界は、フリージャズとセクシーな女性とエロスが蔓延する筒井康隆の異次元だ。

二人とも、やっぱり良いのでした。読んでよかった。