莫理斯「辮髪のシャーロック・ホームズ」853冊目

これは面白かった!

ツカミが最高ですよね。シャーロック・ホームズものは最近かずかずのリメイクが行われていますが、辮髪は初めてです。

という引きが強くてさっそくページをめくってみると、「序」に昔の中国っぽい意味不明な漢語が並んでいます。くじけそうになって、先に著者と訳者の「あとがき」を読んでみると、かなり古風な中国語の文体であえて書かれていて、日本語訳でもそれを生かしたとのこと。演出か、とちょっと安心して、改めて読み始めてみたところ、わからない言葉が多いのをいったんスルーして読めば、どんどん頭に入ってきます。これは短編集なのですが、最初の作品「血文字の謎」には語の説明がさりげなく(いや、本当にさりげないんですよ)混ぜ込んであって、すぐに全部は覚えられないにしろ、少しずつ慣れていきます。

それにしても「もじり」が楽しい。ホームズだのハリウッドだの・・・。そもそも香港の地名には英語をあてはめたものが多いし。しばらく行けていない香港のあちこちの地名を見るのも懐かしく楽しい。

ストーリーも、トリックも、登場人物の性格付けも、じつにしっかりとして本格ミステリーに近いけど、茶目っ気たっぷりなのにクールを装ったような英国式?香港式?ユーモアもあって、最初から最後まで楽しんで読めました。これ映画化してもいいんじゃないかなぁ。英国人に化けても通用する長身のシャーロック・ホームズ役は、チャン・チェンがいいんじゃないかしら。辮髪必至だけどね!(中国語圏の映画、最近それほど見てないので、他のキャストは思いつかない)

全4巻になる予定とのこと。引き続き読んでいきたいと思います。