すっごく面白かった。カレル・チャペックがこんな戯曲を書いてたなんて、驚いてしまう。
彼の「山椒魚戦争」を読んだらファンになってしまい、RURやらダーシェンカやらも読んだしチャペック展にも行った。(※この間20年以上たっている)確かに彼は優れたストーリーテラーだ。でも、こんなに短くてインパクトのある戯曲を書く人だなんて全然知らなかったので、驚きつつちょっと感動してる。といったところです。
(以下ネタバレあります)
結末を知った上で読んでも面白さが損なわれない作品だと思うけど、知りたくない方は読み終わってから以下をご覧ください。
不老不死で名前をどんどん変えながら生きているけどイニシャルだけは同じ、と聞くと「ジョジョの奇妙な冒険」を思い出したり「ポーの一族」を連想したりしてしまうけど、似て非なる内容。主人公である美女エミリア・マルティの投げやりな物腰や信じがたい博学が、最終章で解き明かされるミステリーでもあります。すごく面白かったんだけど、これ今舞台や映画にしたら、使い古されたネタだと感じるかなぁ。最初に刊行された1922年には相当新しかったと思うし、今読んでもイケルけど、映像にしたとたんに陳腐になりそうな気もする。やり方次第か。
最初に知ったのが偶然だったので、あまり知られていない、自分にとって身近な作家のように感じていたのが、どんどん大きくなって、今はチェコ屈指の大作家だということを知ってしまっている。だけどこの本を読んでまた、「誰も知らない名作を見つけてしまった」ような錯覚を感じて不思議な感慨にふけっているのでした。